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書くことの思考と身体性

2012-08-14
昨日記したように、5日間にわたり九州を巡っていた。その間の小欄は「Tweetのまとめ」という形式を採った。その時その場で即時的に感じたことばを羅列したらどうなるかという試みでもある。だがそれでも、その場を離れて朝夕の最後にまとめて振り返るという場合もあり、全てが即時的というわけでもない。同時にスマートフォンを使用し画面タッチでTweetの文章を書き出す時の思考が、キーボードタッチでこのように思考するのとは確実に何かが違うことも感じた。「連続Tweet」形式を連ねれば、小欄の文章に近いものは書けたはずであるが、どうもこの文体を紡ぐ思考や姿勢にならず、断片的で浅いことばを連ねる結果になったと思っている。改めて書くという行為の身体性についても考えさせられた。

通常は旅でもPCを持参する。今回はWeb接続環境が十分得られないであろうという懸念から、スマホのみでどのくらいできるかを試みた。キーボードで両手を使用して打ち込めば、そう深く考え込まずに涌き水の如くに文章が形になる感覚がある。もはやキーボードは筆記具であると換言してもいいであろう。文体とこの語り口を作り上げているのは確実にキーボードに向かう身体性が産み出している。

スマホでTweetする際の入力形式は指一本である。もちろんキーボード型を選択して両手を使用する入力もできないわけではない。だが、ひとたび指一本のスライド方法に慣れると、それが断然早くメールなどの事務的な文章を構成する際には有効である。ア行音を中心に時計回りに9時の位置からイ音・12時の位置にウ音・・・と回転式に配置された入力盤は、最初は甚だ使用しにくいと感じていたが、使えば使う程その便利さが際立つ。キーボードが基本的にローマ字により字音構成入力しているのとは、構造からして違うといってよい。

もう一つは、即時的に文章を紡ぎ出すことが予想以上に難しいということ。小欄は、前日の出来事を元にして、翌朝一人で文章を創り出すのが通常である。睡眠による記憶の整理が脳内で進展しているはずなのである。時折、夢うつつで「こんな内容を書こう」とか、「タイトルはこれにしよう」といったことが、夢中で浮かぶのはその為であろう。眼の前で写実的に切り取るには、何となく食べ物を丸呑みするような強引さが求められているような気がする。必然的に表面的で深みのない文章となってしまうという結果になりかねない。

更には、一人であるかどうかということも書く環境も大きく影響する。今回の旅行中は、大抵が4人での行動であり、また現地で案内していただく方々が同行している場合も多かった。眼前の同行者と話すことが最優先である。携帯電話で外部から必要不可欠な着信がある場合、同行者との話を断絶してでも通話に入ることは可能である。だが、自分が能動的に文章を書きたいと言って、会話や場の進行を断絶することは、なかなかできなかった。それでも、同行者の話を片耳で聞きつつ、現在地の写真や情報をスマホに上げたことがあった。しかし、それは気の利いた文章にはならない。ただその場所がどこであるかを示す名称のみで、書き込んだとしても枕詞的な一言が付されるのが精一杯であった。

こうした自己の書くことの実際を検証し、Web上で書かれている情報について逆照射してみると、それがどれだけリアルであるか否かには慎重な姿勢を持つべきであることが再認識される。現場で強引に当て嵌められた大仰なことばである場合、主観に主観を折り重ねて脚色されたことばである場合、果てまた実に的確に写実されたことばである場合もあるはずだ。このWeb上の「即時性」という“事実”には功罪両面があることを忘れてはならない。“事実”と称する以上、必ず何らかの主観をもって切り取られているということ。それを考えた上で咀嚼しなければならないだろう。

今回、同行者の一人の方が、タブレット端末を持参していた。自分の状態と比較して、少なくとも写真撮影に関しては、スマホの方に機動力があり有利だと感じられた。だが、文章を紡ぐ際はどうだろうか?キーボードタッチに近い状態が可能な画面で書いた文章は、スマホとは違うだろうと横目に想像したりもした。もちろん携帯回線に直結できるのでスマホの有効性も兼ね備えている。いけない、また欲が出そうだ。


文章を書く上でも、複数の思考と身体性が求められているのかもしれない。
それぞれのツールに合わせて、
的確な文章を表現できる書き手が求められているのだろう。
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