やりたいことが仕事ー堺雅人さんに学ぶ
2023-07-31
俳優・堺雅人さんの芝居への像熱新たなドラマ「VIVANT」への期待
読書家として宮崎が生んだ輝く才能
日曜ドラマ「VIVANT」が、毎週楽しみだ。「半沢直樹(続編)」以来の堺雅人さん主演ドラマであるが、性格はいささか違うものの企業人である主人公が国際的な舞台で機密情報に関わっていくスリリングな展開として堺さんの演技が際立つ。企業・公安・国際社会における虚構の仕掛けも興味をそそり、思わず「仕事・個人・国境」などのテーマを考えさせるドラマに仕立てられている。それにしても半沢直樹よりもやや頼りないキャラクターを、表情や所作を含めて好演している堺さんの演技力にはあらためて魅了されてしまう。その基盤としての読書家としての才や演技にかける努力は、並々ならぬものがあるのではと想像している。
昨晩はドラマ終了後に、そのままバラエティ番組に堺さんが出演していた。そこでは「仕事が趣味」だと述べて、今回のドラマロケ地であるモンゴルに2ヶ月滞在してもまったく辛いことなど無いと語っていた。共演者の阿部寛さんが述べていたことだが、ロケ地の文化にはまり込むような順応性が堺さんには見られると云う。ロケ地の文化を肌で味わい、受け止めたものを演技に活かす。かつてのエピソードとして、台本が届いて風呂で読み始めたら5・6時間も出られなくなり熱中して読んだと云う。「演技=趣味」のように行っているので「仕事」だという感覚がなく、「家事・育児」の方が辛いのだと漏らしていた。この演技への没入力が、我々をドラマの世界へ引き込む大きな要因となっているのだろう。
「仕事=やりたいこと」でありたい
あのまろやかな笑顔は宮崎が生んだ太陽である
大学入試の数学試験がわからず裏に小論文を書いた、どこか牧水にも通じている。
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重い荷物下ろして時には・・・
2023-07-30
かの大谷翔平でもふくらはぎのけいれんを心身ともに疲労し大事になる予兆との声も
誰しも背負うものがあるのだが時に荷物を下ろしては
毎日のニュースの中で「大谷翔平さん」についてのものが、唯一の楽しみとも言える。猛暑と地球的規模の温暖化、戦争や威嚇に連なる国家間の緊張、家族が絡んだ殺人、水の事故に物価高、いずれも人々を不幸に貶めるようなニュースがあまりにも多い。せめても翔平さんの次元の違う夢のような活躍で元気を貰いたいと思う向きは多いのではないか。先日はいわゆる「ダブルヘッター(1日2試合)」で1試合目完封勝利、2試合目2打席連続本塁打という信じられない活躍が話題を呼んだ。しかし、その次の試合でふくらはぎのけいれんのため、好機に代打を送らねばならない状況が見られた。さらに2試合連続でこの症状を訴えており、WBC以降ほとんど休んでいない疲労の蓄積で大きな怪我につながらないかと心配が寄せられていると云う。
MLBで活躍が著しいもう一人が吉田正尚さんだ。首位打者争いを演じるほど3割2分に近い打率で新人王の呼び声も高い。その起用の傾向を見ると、チームとして「疲れが見えると先発を休ませる」という明らかな方針があるようだ。ちょうど今現在行われている試合は「2試合連続無安打」を背景にベンチスタートとなっている。彼自身の意志というよりチームがそう決めているようだが、この休養によって再び高打率へ安打が量産されているようにも見える。日本人の感覚からすると学校などでの「皆勤主義(休むのは悪)」とする考えに引き摺られることが少なくない。しかし休養こそが明日のために必要だと合理的に考えるべき時代ではないのか。もちろん翔平さんが強引に出場していると責めるつもりは毛頭ない、ただでさえ破格な活躍ゆえに休養も必要なのではないかと親身にして思うのである。などとMLB選手の心配をしつつ、自らも心身ともに疲弊してはいないか?ということも考えた方がいいかもしれない。
頭の中に余裕が欲しい
重い荷物と感じるものは下ろしてもよいと思うことだ
翔平さん・正尚さんの活躍から多くを学ばねばなるまい。
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思考・判断・表現のLIVE
2023-07-29
生成AIを活用を見据えてその時その場で身体だけで何ができるか
先端技術なき「生身の人間」が稀少になる世の中で
各分野で生成AI(人工知能)の活用への議論が盛んになってきた。携帯やスマホが出てきた時もそうであったが、何か新たな弊害に巻き込まれるのではないか?という不安がこの国の社会に先行して蔓延る傾向がある。しかし、今や子どもから老人まで多くの国民が「スマホ」を手にして個に応じて生活に活用している。きっと次第にスマホにも生成AIが様々に連携され、さらに予測もしない使用法が生まれて来るのだろう。さて、学問上の活用も多方面で使用が開始される中、当然ながら学生のレポート等への応用をどう考えるか?という課題について方針を表明する大学が増えてきている。Twitterなどを見渡すと、むしろ逆手にとって生成AIによってテーマの回答を弾き出し、その適切でない点を指摘させる試験を実施した大学教員がいるらしい。新たなものが出現した時、「人間が使われない」ためのリテラシー(読み書き能力)が必要だということだろう。
他にも「レポートの中に浮き出た文言」があると、その部分を検索や生成AIにかけることで「剽窃した元の文献」に容易に辿り着けるという採点への援用を示唆するTweetも見た。この件から考えたのは、最近の学生は「資料に当たる」ことが「活字」ではなく「Web」になっている傾向をどう捉えたらよいかという問題だ。実際に副館長を務める附属図書館でも、感染に対する規制が緩んだ今年は入館者数はコロナ禍前の水準に回復しても貸出冊数がまったく回復しない。農学・工学・医学の学部を持つ大学ゆえ、最新のデータはむしろWeb上にあるのかもしれない。それゆえに、蔵書資料の精選が求められるかもしれないのだ。かくした状況での大学の前期試験、僕はなるべく教場試験を採用し「思考・判断・表現のLIVE」を実行することにした。音声的に身体化したものを知識化する、逆に「知識→精査→解釈」を身体的に表現する。自らが問いを立て、自らが生成AIのように理路整然と論述する。などなど90分の試験時間中で「覚え込んだ知識を単純に問う」ことにならないような工夫をしている。生成AIにかければ一定の知識は簡単に入手できる時代に、「教師として生きる」学生たちに必要な「思考・判断・表現」の力を身につける試験方法を開発して行かねばならない。
孤立知識を問う穴埋めや単純設問は論外
教壇で教師が身体的に必要な語りに活かせるための試験
「覚えているか?」ではなく「どう使うのか?」に繋がる評価が求められるのであろう。
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あの頃の研究室ー恩師の年齢になって
2023-07-28
大学時代の研究室での研究会先生の「喉が渇いたね」という一言から
大学近くの店になどくり出して・・・・・
大学学部の恩師は、母と同じ年齢だったので今も生きていらしたら80歳代になっていた。残念ながら72歳の折にこの世を去ったが、今もその声が聞こえて来るような気になることがある。研究会をしていて夕刻になると「喉が渇いたね」と先生は言う。それは言わずもがな「(みんなで)呑みに行かないか」という意味であった。現在とは異なり大学の環境も寛容なところがあって、研究室にもたくさんの茶碗とウイスキーが保管されていて『万葉集』の歌を講読しながら「はじめる」ことも少なくなかった。いわゆる「飲み会」が先生のもとでは日常から行われていたのだが、その場によって先生にも先輩にも多くのことを教えてもらった。卒業後も正月となれば必ず先生のご自宅に年始に伺い、かなりの大酒を呑んで終電で帰った。考えてみればいつしか僕自身が、あの頃の先生の年齢になっているのである。
現在はもちろん研究室(大学構内)で「はじめる」ことはご法度である。しかもこの3年間ぐらいは感染拡大で「飲み会」そのものの開催が控えられた。直近の昨年度でさえ、ゼミでは1回しか実施していない。思うのはかつて恩師が僕らにそうしてくれたように、僕自身がなるべくゼミ生と親しく語り合う時間を確保したいと常に願っていることだ。事実上、大学内で行うゼミの時間だけではまったく物足りない。教師としてのこころ構えでも、私的生活の話でも、はてまた実習への不安でも、自由に交流できる場が必要だ。などと考えて僕のゼミでは、なるべく「課外」の機会を設けるようにしている。恩師の思い出で印象深いのは、大変に気前が良いこと。店ではかなりの額を支出してくれていたし、場合によると早稲田ー高田馬場間のバス代七人分を出してくれたこともあった。あの頃の恩義に報いるためには、当時の恩師と同年代となったいまこそ学生との大切な時間を作り、恩師がしてくれたようにすることだと思っている。
自分が受けた「学び」は次の世代へ
語り合う時間を大切に作り出すこと
今もまた先生の笑い声が聞こえて来る。
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めばえ・げんてんーあの幼稚園の先生
2023-07-27
「心育」こころを育ててもらったあの頃物心ついて初めての恋のような感情を抱いた物語
卒園幼稚園の現園長先生として宮崎へいらっしゃる
集団行動など「規律」という意味では、ダメダメだった幼稚園の頃。だが確実に「心育」を施していただき、現在の自分に繋がるめばえ(芽生え)があると回想できる。幼稚園は僕が現在の道に進む上で大きな原点となっている。文学研究をしているのもあの頃に紙芝居や絵本により大きな感動を与えてもらったから、その肉声で読み聞かせる素晴らしさから音声表現(朗読)研究にも踏み込んだ。「クリスマス」の著書を書いたのは「マッチ売りの少女」の紙芝居が原点、音楽と関連させたのもあの頃に楽器に向き合ったからだ。そして「ことば」は「心の耳で聞く」という短歌の原点のような姿勢もまた、当時の幼稚園園長の教えに由来するのではないかとさえ思う。ダメダメなことも多かった園児だったが、確実に未来に繋がる「あそび」によって「心」を育てていただいたのが僕の幼稚園の人生としての意義である。
現在もまた当時の園長の娘さんが園長として、「心育」の教育を引き継いでいる。僕が園児の時は年少の担任(自分の担任ではなかった)で、「日本の恋歌とクリスマス」に記した「初恋類型めばえ」として僕の内部に刻まれている先生だ。その現園長先生が、研修のために息子さんとともに宮崎を訪れた。妹の時に「ひまわり会会長」を務めた母に連絡があり、ぜひ会食の機会が持てればということでこの日を迎えた。不思議なのはその息子さんが、仕事の関係で宮崎にご縁があったということ。人生の原点に発する糸がどのように繁茂していくのか?誠に不思議でもあり必然でもあるドラマが待っている。この夜は昔話からさらにこれからの幼稚園まで、時間がまったく足りないほどの話が弾んだ。未来への話の中でも人と人とのご縁が不思議なほど繋がっており、母が築き上げた人間的な心の輪がさらに拡がりそうな予感を持った。幼稚園・保育園の頃には、何も早く「文字」「計算」ができればよいというのではない。人生という樹木の種となる「心」を芽生えさせる「あそび」にたくさん触れることだ。かつての園長はこう言っていた、「心を育てれば青少年の犯罪はなくなる」のだと。余裕なき効率化と詰め込みの発想から、この国はもういい加減に脱しなければなるまい。
母の人生の樹木として高く大きくそびえ立つ
さらにこれからも幼稚園に様々な繋がりで貢献したい
「人の心」が大好きな己を育ててくれた人生の恩師として
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日本の恋歌前期講義最終回ー恋愛を学ぶ機会として
2023-07-26
サザンや昭和歌謡曲とともに短歌から恋の諸相を考えていく
「自分の恋愛を初めて言語化しました」という感想
私たちは「恋愛」をどこで学び、どのように実践するのだろう?多くの生活習慣は親に学び、読み書き計算は学校に学ぶ。多くの人が「初恋」の経験は「学校」を舞台とすることが多いはずだが、なかなかその術を学ぶ人や機会が用意されているわけではない。例えば「国語」の授業でも、牧水の「白鳥は哀しからずや」の歌を教科書で学ぶが、背景に「恋愛の哀し」があることへの言及はなされない(指導書がそうなっている)ことが一般的であろう。栗木京子さんの「観覧車回れよ回れ」なども教科書に採録され中学生に人気な歌であるが、そのわけは〈教室〉で「恋愛」が語っても許される範囲の淡く切なく甘酸っぱい恋に読めるからだろう。しかも「鑑賞文」という枠の中で、整序された「恋愛」が語られる授業に留まることが多いのが現状だ。他の小説教材なども含めて、せめて中学校高等学校では、もっと「恋愛」について考える機会があってもよいのではないか。
「これが大学の授業なのか?」という疑問に近い感想を受講の学生たちからいただいた。この日は「日本の恋歌ー和歌短歌と歌謡曲」の前期最終回の講義であった。100人を超える受講者から講義の感想・私への質問など「ラジオへのハガキ(メッセージ)」のような100字程度のコメントを課題として提出してもらい、なるべく多くのメッセージに応えるという内容で進めた。普段はあまり聞くことがなかった「昭和歌謡」の曲に触れられてよかったという感想とか、サザンオールスターズにハマったなどの嬉しい感想も見られた。実はいつの時代も私たちは歌謡曲やJ-popの音楽から、自然と「恋愛」を学んでいるのではないだろうか。サザンや桑田佳祐ソロの楽曲を並べてみても、様々な恋愛事情を垣間見ることができる。先日も桑田さんがラジオで「歌詞は妄想で書いた」という趣旨の発言をしていたが、例え歌詞制作上は「妄想」であっても「恋愛の諸相」として語り合える機会が大切なのだと思う。(文学の虚構性と同じ)現状はだいぶ改善されたであろうが、中高部活動での「恋愛禁止」などに見られたように、「恋愛=悪」のように見てしまう「学校」環境をもうそろそろ終わりにしてもよいのではないか?こんな思いも込めて、「大学」の基礎教育科目として全学部の学生たちと「恋歌」を通して「恋愛」についての対話をしている次第である。
次年度へ向けて新たな展開も考えたい科目として
多くの若者がサブカルチャーから「恋愛」を学んでいる
「恋愛忌避」「晩婚化」「対人拒否」などについてまずは若者たちと考えるために。
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語れる身体をもつ教師を育てたい
2023-07-25
感情の表現を人間として豊かにAIの時代に身体性を意識した表現力を
まとめのスピーチで学び合う時間として
いよいよ2023年前期講義期間も、先週の金曜日から最終週となった。担当科目ではいずれも最終回に受講者のスピーチ機会を設け、お互いが15回で何を学びどんな力をつけたかを学び合う機会としている。とりわけ教員養成を旨とする学部ゆえに、「(人前で)語れる身体性」を育むことも肝要だと考えるゆえである。1年生配当の文学史の講義では、和歌・俳諧・散文の冒頭文などを暗誦してその文学史的な魅力を高校生向きに語るという想定のスピーチ。同じく1年生の『伊勢物語』講読の講義では、扱った章段の中から和歌一首を選んで暗誦した上で、その物語の魅力や現代的な学びの意義を語るというもの。さらに2年生配当の国語科教育法基礎の講義では、「国語」選考を選んだ理由や現在の学びとどんな教師になりたいかなど「教員志望」を自らの語りで確かめていく内容で実施している。
多くの人々の前で語ることは、誰しも決して最初から得意であるわけではあるまい。中高時代の環境の影響もあるだろうが、僕なども中高生の頃は学校では全く無口であった。現在と違って発表形式の授業も少なく、先生が話すだけであったので生徒らの表現力など微塵も伸びない教育を受けた。だが大きな海のように感じた大学では、日本文学専修ということもあり適切に表現するにはどうしたらよいか?を問い続けていた。やや大胆に傍若無人に振る舞う度胸もつき、研究会やサークル活動のおかげで社交力もかなり身につけた。それがそのまま教員に就職して役立ち、教室で語れる力になっていった。僕自身は学部が文学部なので(大学院は前後期とも教育学研究科)「教員養成系」の学びを受けていないが、大学のあらゆる機会を活用し語る力を身につけた気がする。先日の短歌トーク&朗読公演もそうだが、聴衆の方々が多ければ多いほど語り甲斐のある高揚感があって爽快な気分になる。ぜひ向き合う学生たちにも、教師のこうした愉悦を味わって欲しいのである。
理路整然とまとめるより抒情性あるスピーチを
生成AIが構成できない人間の語りとは何であろうか?
「そうですかスピーチ」にならぬように学生には心を大切にしてもらいたい。
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だれやみ日曜夜会ー疲れなきは意欲
2023-07-24
心の花選者の黒岩剛仁さんをお迎えして東京歌会のこと、巨人についての昔話など
だれやみと明日への意欲!
前日の公演の疲れはいかに?と思いきや比較的早く起きる朝。起床してすぐに、その日の予定が頭を巡る習性がある。その中で「楽しい!」と思えることがあると俄然に元気に活動を開始できる。ゆえにむしろ「楽しい!」を探すようにしているのかもしれない。もちろん「辛い苦しい」がないわけではない。人は誰しも心にのしかかる重みを、持っているはずだ。だが何事も意欲的に前進しようとすることで疲れは取り払われる。宮崎には「だれやみ」という方言があって、「だれ=疲れ」を「やみ=止み」と語を分解するとわかるように、「疲れを休める」を基本義に「晩酌」のことを指す言葉である。様々な心にのしかかる重みも、酒を飲むことで「だれやみ」とするわけである。
この日は夕刻から、心の花選者の黒岩剛仁さんをお迎えしての宮崎歌会懇親会が開催された。県内国富町ふれあい短歌会に講師として招かれた黒岩さんとの楽しみな時間となった。もう4年ほど心の花では全国大会が開催されていない。ゆえに選者と諸々のお話ができる機会は貴重である。短歌が紙の上・文字の上だけにならないためにも、まさにこうしたふれあいの時間が大切であろう。会の中では『心の花』会誌の編集の現状、選歌・編集作業のこと、1500号記念号や記念大会のことなど、大変に興味深いお話を聞くことができた。おまけに僕自身が幼少の頃から後楽園球場に通い詰めた話を、大の巨人ファンの黒岩さんとすることができた。最後は野球選手がよく訪れる宮崎餃子の名店で締め括り。誠に「だれやみ」を超えて、疲れとは意欲が乗り越えさせてくれると思う宵のうちであった。
自らにのしかかる重みが短歌を詠ませてくれる
決意も新たに意欲が湧いてくる酒
ちょうど「ニシタチ歌集化プロジェクト」が朝日歌壇に紹介されていた。
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牧水没後95年「いとしの牧水」ー第二の故郷・延岡公演
2023-07-23
短歌と音楽と朗読と牧水が8年間の青春時代を過ごした延岡
後輩である延岡高等学校の生徒たちの短歌が480首集まる
僕自身の忙しさがあって、今回はなかなか十分に事前リハの時間が取れなかった。しかし、朗読の背中を押してくれるチェロ・バンドネオン・ギターの響きと僕の声は、千載一遇の出逢いのように交響した実感がある。もちろん演奏者の方々の技術の高さということになるのだが、「ことば」と「音楽」はどこかで共鳴し合うものである。その極点が「短歌」という1300年の営為ということだろう。ステージに上がるとまさに「フロー状態」を通り越した幸福感に包まれ、朗読はほぼ無意識に気持ちよく自然に声がマイクに吸われていった。牧水の魅力は語り尽きせぬが、「その存在が周囲をまるく包み込む」ような趣旨のことをトークで述べた。その「まるさ」の中で周囲の人を含めた「自然」と共存をもたらせるのが牧水の短歌であり生き方である。公演の最後に読まれた妻・喜志子の短歌に思わず涙が溢れ出た。「いのちのしらべしらべあひて」という牧水逝去に際しての喜志子の歌、まさに「世にありがたき二人」なのである。これはもちろん僕が今回に朗読した「最愛の妻・喜志子への手紙」の新婚当時の牧水の思いと響きあう。
自宅を8時には出発、観覧する妻と双方の母と4人を乗せた車は順調に延岡へ向かった。マイク合わせや場当たり等のリハーサルのため出演者は10時集合。城山の鐘を見上げるリニューアルされたばかりの野口遵記念館に到着した。眼の前の市役所とともに、かつての延岡城の景観を彷彿させるデザインの素晴らしい建物だ。伊藤一彦さんと僕が朗読のマイク合わせに入ると時折、音が飛んでしまう症状が随所に現れた。二人とも「声が大きく音響リミッターが掛かるのか?」など原因が究明されたが、最終的に有線マイクを使用することになった。ホール内の音響は大変によく、スピーカーからの音はどの音域も響き渡る。しばし会場の様々な座席を巡り歩き他者の声を参考に、自らの朗読の声の出し具合を調律していく。ある意味でサザンオールスターズなどがワイヤレスマイクで平然と3時間超のライブを音響トラブルなく歌い切るのは、スタッフの想像を絶する腐心があることを悟った。また牧水の後輩たち・延岡高等学校の生徒さんで特選に選ばれた2人もステージに出演し自らの歌を朗読する機会があった。彼女らにとって緊張する体験の中、「ゆっくり・息を吸い込んで・一テンポ置いて」など助言ができたのは、これまでに朗読発表公演を学生たちと作り上げて来た成果でもあった。かくして本番は異次元の時の流れの中に、自らが居た気がする。ありがたき牧水先生の来臨を、ステージ上で実感した。
観客のみなさんも300人以上の盛況
延岡の短歌熱をさらに盛り上げたい
「千万人来つつ見るとも遂に見ぬ一人のありてたのしまぬ我や」
(牧水7回忌に妻・喜志子が初めて城山公園の歌碑の除幕に訪れた際の歌)
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本日開演!「いとしの牧水」短歌トーク&朗読公演リハーサル
2023-07-22
本日7月22日(土)14:00開演:延岡市野口遵記念館若山牧水没後95年記念企画
短歌 音楽 トークが織りなす牧水の物語
いよいよ公演が本日となった。今回は企画のお話をいただいてからの間、諸事の合間を縫うように自分なりの準備を進めてきた。昨年11月は小ぢんまりと落ち着いたライブハウスであったが、それより遥かに大きなホールでの公演、リニューアルされたばかりの当該ホールは、音響も抜群だと聞いている。トーク&朗読ばかりではなく、音楽についても一流の演奏家(ピアノ・チェロ・バンドネオン・ギター・フルート)の方々が奏でる音色がいかに美しく響くかが楽しみである。これまでなかなか僕自身のスケジュールが合わないため、音楽との合わせができないでいた。しかし朗読部分の「尺(長さ)」をお知らせして編成していただいた演奏に、リハーサルとして合わせると驚くほどマッチした演奏をしていただき、朗読する声も非常に高揚した。
牧水が最愛の妻・喜志子へ送った手紙、そこには愛を伝えようとする胸の高鳴り、そしてまた歌を作ることが自らの生き方であるという意志の高らかな表明がある。結婚直後ながら歌作りのために東京の自宅から三浦半島の三崎に来ている歌への情熱は、現在の朝の連続テレビ小説「らんまん」のモデル・槙野富太郎の姿と明治時代人という意味でも重なる。植物に短歌に心酔し、そしてまた妻を愛し、その生涯に明らかな柱がある生き方である。朗読するもう1通の手紙は、今回の公演の地にある旧制延岡中学校(現・延岡高等学校)時代からの親友・平賀春郊への手紙である。しかも故郷の坪谷(日向市東郷町)で老いて一人暮らしをしている母・マキに対して、東京から沼津に引っ越すのを契機にともに暮らそうという旨を春郊に説得してもらいたいという内容だ。母への愛とともに、親友への熱き信頼が垣間見えて、朗読していても心が熱くなる。ということで公演にお越しいただく方には予告に、遠方で叶わない方のためには概要をお知らせしておくこととする。
チェロ・ギター 弦に支えられての朗読
書簡でこそ相手に訴える牧水の文体の力
没後95年にして牧水先生の第二の故郷・延岡の今日が熱い!
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