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笑顔で講義のプロとして

2023-06-07
個人として様々な事情を抱えていても
講義のプロとして平常心で学生の前に立つこと
「日々是決戦」と言っていたあの頃の先生方を思い浮かべつつ

「講義をする教師」への憧れにおいては、「旺文社大学入試ラジオ講座」に大きな影響を受けた。高校2年生の3月、春先1ヶ月早くスタートする意義が説かれ、各教科の名講師のラジオ講義を貪るように聴いた。中でも英語の名物講師の先生は、その後30年にわたる交流を通して僕を今のような大学教員・研究者になる道を支えてくれた。その先生はある大手予備校でも講義を持っており、ラジオのみならずライブで多くの講義を拝聴した。講義中には「教養ある雑談」も多く、城山三郎『今日は再び来らず』の内容に触れ「プロの教師とは」を熱心にお話いただいたのをよく覚えている。「受験生は今日という一日一日が勝負なので、それを教える教師は眼の前の1講義に命がけでなければならない」、現代からするとやや大仰な物言いのようだが、僕には「プロとはなにか?」を考える上で貴重な機会であった。

予備校ならずとも、大学講義でも眼の前にいる学生が一生においてその講義を受けるのは「その時」だけなのである。「プロ」であるからには「その時」を決して微塵も疎かにするべきではない。これは教育実習に行くゼミ生にも説くことで、「向き合う児童生徒は実習生であってもあなたの授業内容が一生に一度のものなのだ」と言い「プロ」としての「路上講習」に送り出すようにしている。だが「教師も人間」であるには他ならない、個人的な感情の起伏もあるし家庭で様々な事情を抱えていることもある。なにも、そうした「個人」を犠牲にせよというつもりは毛頭ない。だが準備の段階から自らの講義づくりのルーティンを作り、「今ある最高」のものを作り上げようと努力すべきだと思うのだ。WBCを始め昨今の大谷翔平を見ていると、まさにこの「プロ」としての姿勢に甚だ長けている。フル回転しても、言い訳など微塵もしない。投げるのでも打つのでも眼の前の「一球」に「日々是決戦」という思いで臨んでいる姿には学ぶものが多い。

学生の心に届く講義を「今日もまた」
自らが抱え込んだ様々な事情を笑顔に包み込んで
教壇に立つ「プロ」として、僕の学問の父たる恩師の顔を思い浮かべ今日もまた。


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