母の日に短歌を贈ろう!
2023-05-15
「大寒のあかとき産院へのみちを母のしきゆうに揺られし記憶」(『心の花』2023年2月号掲載・5月号「作品評」欄に評)
母に思いを致すためになにができるか・・・
冒頭に記したのは僕の歌であるが、自らの今年1月の誕生日を機に発想し作歌した一首である。暦によって違うがほぼ「大寒」が誕生日である僕が、母への思いを込めたものである。それが『心の花』今月5月号の「作品評」欄に光栄にも取り上げていただいた。評に曰く「胎内の記憶を詠んだ。もっとも実際には後から聴いたことだろうが、身体の奥に残る記憶もあるのかもしれない。子宮をあえてひらがなにし、ゆっくり読ませて成功。」とあった。僕自身の作歌時の思いを、存分に読み取っていただき評者には感謝ばかりだ。幼少時からの「記憶」が妙に多く残る傾向のある僕は、果たしてどこまで遡れるだろう?といつも疑問に思っている。それが極限まで遡れるのではという思いを、短歌という「コトバ」で叶えた作品である。「実際には後から聴いた」というのは「事実」であるが、「真実」としては「身体の奥に残る記憶」があると思っている。
この命を「一年で一番寒い日」に産んでくれた母への感謝。「母の日」になにができるか?などと思いつつ、前述の歌が「5月号」に評された宿縁にこれ以上のありがたさはない。併せてこの日に届くように、俵万智さんの新刊『青の国 うたの国』(ハモニカブックス2023)を母に贈った。俵さんが宮崎にいらした6年半のうち後半の3年間ほどは、僕の母も宮崎に移住し宮崎日日新聞連載「海のあお通信」を毎月たのしみにしていた。俵さんが仙台に引っ越されたのは「ご両親の生活のサポート」が理由だが、以前に俵さんご本人とメッセージを交換した際に「ご両親が宮崎に移住され近くにいるのは羨ましく思っていました。」と言っていただいたことがある。そうだ!「母の日」のみならず、高齢になった母がそばで生活している日常そのものが毎日「母の日」のようなものだろう。当該書のうちには僕が実名で登場するのが一箇所、間接的な表現で登場するのが二箇所ある。今日から母にとって僕がどこに記されているか?という読書が始まることだろう。
「大寒のあさ産みくれし母のためカシミアセーター買ふ初任給」(同『心の花』2月号掲載歌)
「事実」として「カシミアセーター」を買ったことはないのだが
宮崎の日々においては「あたたかさ」をいつも母に届け続けたいと思っている。
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