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一流に学ぶ宮崎国際JAZZ DAY2023ー「魂のキャッチボール」

2023-05-01
「そのボールが空に描く弧が大きければ大きいほど、
 受け止めるときの手応えもずっしりと重いというわけである。
 それは現代人が失いかけている『対話』を回復するための精神のスポーツである。」
(寺山修司「友情とはなにか」『群れるな』興陽館2017)

寺山修司の言葉に感化されることは多い。この日は午後、妻が美容室に行くというので同行し待ち時間に、市内で先月に開店したばかりのカフェに二度目の足を運んだ。カナダ出身のシェフと東京から移住したオーナーが共同で経営する同店は、まさに「友情の店」ともいえる趣で彼らの友人の来店も多い。僕も訪れたことのあるカナダや故郷・東京の話題で、「大きな弧を描きたい」と思いつつ店内でゆったり寺山の言葉を読み尽くした。「祖国より、友情のほうがはるかに私たちを『人間らしく』扱ってくれる。」ともある寺山の言葉には、この店の空間を語るようで嬉しくなる。寺山はまた「乱世ほど(友情は)生まれやすく」と言っているのもいまのご時世に合う。没後40年とは思えないほど、寺山の言葉は今現在の社会情勢を照らし出してくれるのだ。

夕刻から、友人のフリーアナウンサーがアンバサダーを務める「宮崎国際JAZZ DAY2023」へ。一流の山下洋輔さんがこの10年もの間、宮崎県内の小中高生らとともに創り上げてきたジャズフェスティバルの最終章だと云う。10年が経ち11年目といえば僕自身の宮崎生活とまったく時間的に重なるのだが、初めてこのステージを見るに至り今まで観る機会がなかったことを悔やんだ。当初は小・中学生だった子どもたちが20代に成長し、「山下洋輔スペシャルカルテット」と共演する演奏は、まさに「(音楽)魂のキャッチボール」のようで清々しい光景だった。このように文化・芸術は、その「魂」を投げ受け止めまた返すことで次世代に引き継がれてゆく。そのJAZZの大きな「弧」をこの10年間は描いてきたことだろう。この子どもたちの中からJAZZ演奏家のプロが育ちゆくことで、宮崎という地に豊かな文化の輪がさらに大きくなって行く。「現代人が失いかけている『対話』を回復する」ために、宮崎でできることがあるのだ。

文化・芸術、そして友情があってこそ「豊か」なのだ
短歌もまた同じ、俵万智さんが描いた大きな弧が一冊の書籍に
宮崎でこそできる「魂のキャッチボール」に興じよう!!!


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