野球少年の心ー大谷翔平のセィフティバント
2023-03-17
試合がない日々はWBCロス試合があれば万全の準備で完全観戦
観戦している僕らの意表も突く翔平のバントがチームを目覚めさせる
僕が中学生になって後楽園球場に独りでも行けるようになり、当時の外野自由席が中学生までは500円であった。自由席ゆえにライト側の好位置を確保するにはナイトゲームでも早朝から並ぶ必要があり、自転車で球場に向かい丸一日を後楽園で座り込んでいることがあった。時節によっては薄暗い中を自転車で向かうので、交番で警察官に呼び止められ質問をされることもあった。だがその熱意のおかげで王貞治さんの714号・715号が飛び込んで来た歴史的な右翼席に生で居られたことは人生の貴重な体験であった。現在ではWBCになるとそんな野球少年の心が蘇り、試合が待ちきれない気持ちで数日を過ごしている。2006年は一次ラウンドの日韓戦での僅差敗戦を東京ドームで目の当たりにし、2009年は宮崎合宿にも初日から3日間を訪れ、東京ドームラウンド全試合通し券を購入して日本戦に限らずすべての試合を観戦した。そして決勝のロスの地まで足を運び、歓喜の優勝の余韻に浸った。今回は、そんなWBCへの思いと野球少年であった頃の思いが融合し、あらためて僕を野球狂へと回帰させている。よほど準決勝・決勝の米国マイアミの地へ行くべく一時は航空券の予約状況まで調べたが、仕事や諸条件を考えてやむなく断念した。
準々決勝をWeb配信で観戦していて、やはり先発の大谷翔平の投球には惚れ直した。その日の己の最良のボールを自覚し、状況に応じて決め球を変化させていく投球術は精密な見応えがあった。短所を知ってそれをカバーするように対応する、あらゆることにおいて学ぶべき術がそこにある。さらには打撃面であらゆるファンが、ましてやベンチも長打を欲する場面でのセィフティバント(自分が1塁でセーフになることを意図したバント戦術)はお見事であった。このバントが呼び水となり、6番打者岡本が3ラン本塁打を放つことへ繋がる。大谷翔平はあれほどの技術を持ちながら、「我が我が」という自己中心的な思考をほとんど覗かせない。本物とは「我欲から脱した存在」なのだとあらためて学びの多い場面だった。野球は「打線」で勝負するものと、翔平は知っている。誰しもが野球少年の頃に学ぶことを、プロ野球、いやMLBのスーパースターになっても行動で見せるところがまさに日本野球の宝なのである。そんな野球少年の心でプレーするのは、どこかイチローさんの精神性に共通する。僕自身も小柄で足が速い野球少年であったため、意表を突くバントが決まった際のこの上ない快感を知っている。誰もが純粋な学びを思い出す、WBCにはそんな純化する効果もあることを意識して観戦したいものだ。
いよいよ舞台は米国へ
試合後の深夜「マイアミで応援してきます」と友人から
準決勝は21日、日本代表合宿の地・宮崎でも地上波放送があるはずだ。
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