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牧水の母校・日向市立坪谷小学校ー地域教育体験活動試行版

2023-03-10
早朝登校時の牧水先生短歌朗詠
朝の活動である牧水カルタ
学生たちが体験した素材を短歌一首に込めて

地方貢献を旨とする教員養成系学部として、所在県の教育に関する課題に向き合うのは重要な任務である。既に現実のものとなる少子高齢化の時代にあって、山間部など小規模校の学校づくりは喫緊の課題である。その課題を多様な面で支援しともに解決していくことが、地域貢献として求められている。同時に所在県の教員の一定数を養成する役割を担うことになる。こうした観点から入学してきた学生たちには、教員志望に意欲的になるような体験をしてもらい、同時に前述したような課題解決に向き合える機会を設ける必要が急務であるわけだ。今回は次々年度へ向けての試行版であるが、「地域教育体験活動」として若山牧水の母校である日向市立坪谷小学校を学生14名引率教員2名で訪問した。

重要な体験内容は、早朝7時過ぎから登校時に玄関口で行われる「牧水先生短歌朗詠」である。これを見学するためには、宮崎市内からだと午前5時前に出るしかなく、団体での移動は不可能なので現地に前泊するという予定とした。初日8日は、まず牧水生家の見学から。牧水が生まれ育って約12年間を過ごした生家を学生たちは興味津々に見学していた。産まれた場所とされる縁側、当時は診療室であった1階、また牧水の父が危篤となり帰郷した際に牧水が籠もったとされる納戸。此処で成長したのみならず、長男として医師を継がないことで地域と親族とに苦悩した牧水の思いにも心を寄せる時間となった。その後は若山牧水記念文学館にて見学、あらためて牧水の生涯や作品にリアルに触れて、学生たちの牧水への思いは高まった。記念文学館ロビーで「短歌短冊」を発見、やはり1人1首は歌を詠もうということになり生家と記念文学館での体験を素材に投稿。夜は牧水公園コテージにて歌会懇親会を開き、まさに短歌三昧な時間となった。

早朝6時起床、6時半コテージ出発、徒歩で坪谷小学校へと向かう。山間に朝霧がかかり、木々の枝には鳥たちが歌う、約20分ほどで小学校の校門へ。7時を回ると児童たちが次第に登校してくる。正門のあたりで玄関口を遠目に見た児童らはどうも今日は様子が違うと察しつつ、校長先生が丁寧に個々に説明しつつ玄関口までやってくる。「明け方の月は冴えつつ霧島の山の谷間に霧たちわたる」坪谷調の朗詠節は同じでありながら、児童ら個々に特徴があるのがよい。その後、8時を回ると「牧水カルタ」をする朝の活動が始まる。2学年1学級の複式に児童らは特に「けふもまた・・・」の歌になると猛然と取り札に向かい、『百人一首』同様に人気札があるのに気づく。そのまま1時限目の授業に入り、音楽・算数・国語の授業をそれぞれの学年で見学させていただいた。短時間であったが山間部にあり「牧水先生」(坪谷小の児童はこう呼ぶ)という偉大な先輩を慕い、短歌を基軸にした小規模ながら豊かな学校づくりの様子が、将来の教員である学生たちの心に響いた。また小学校でも参加した学生全てが短歌1首を作り、校長先生にお渡ししたところ、即座にホームページに挙げていただいた。読者諸氏もよろしければ閲覧いただきたい。

今後もオンラインを活用した交流を
学校周辺では誰彼問わず挨拶をする素敵な人が住むところ
宮崎県の課題でありつつ魅力が満載の坪谷小学校なのである。


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