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宮崎大学短歌会令和4年度追い出し歌会ー題詠「草」

2023-02-24
歌壇賞受賞者の久永草太さんが6年目の卒会
大学院修了そして学部卒の計3名がこのほど
社会人の卒会生も集まり合計14首の詠草にて

2月も下旬を迎え、球春をはじめ春の足音が次第に大きく響く時節になった。卒業のことなどまだ先のことかと思いきや、宮崎大学短歌会の追い出し歌会が開催された。今年は農学部獣医学科で6年間在学し、歌壇賞を在会中に受賞した久永草太さんが卒業・卒会を迎える。『歌壇』の「受賞のことば」においても「宮大短歌会では好き勝手やらせてもらい」と本人は記したが、短歌会にとってはヨチヨチ歩きの赤児を立派に高校を卒業させてもらった、ほど育ててくれた功績があるといってよいだろう。月2回の歌会開催・会誌の制作発行・大学祭企画・日向市マスターズ短歌甲子園出場・角川大学短歌バトル出場・国文祭・芸文祭みやざき2020企画等々があり、その折々の取り組みは顧問としての僕自身を育ててくれたように思う。獣医学科における6年間在籍が短歌会にも活きて、在籍時の歌壇賞受賞に至った。会員個々が久永さんの存在を大きく受け止めているのだろう、今回の題詠は名前の「草太」から「草」となった。

出詠14首、参加14名、宮崎市中心部の中央公民館和室での開催となった。「草」の活かし方としては、「雑草」「若草(2)」「草々」「草笛」「草むら」「草ぐさ」「煙草」「草を結ぶ」「草姿」「七草粥」「緑草」「草原」「草」であった。趣向を凝らした最高点歌は、卒会者の名前の一文字を全て隠題に詠み込んでいた。また「草を結ぶ」という古代の呪術的な発想が詠み込まれた歌は、言葉の中に文化が宿っていることを感じさせた。「雑草」を「児童の頭髪」の比喩も映像的に秀逸であり、「前略、草々」の手紙文より「顔を見て伝える」ことを主張した歌も温かみがあった。社会的事情からすると「煙草」は詠まれないと予想していたが、貴重な人との貴重な機会での一服という場面で健在であった。「ツツジ」が「草笛」に適するか否か?という議論もあり、「七草粥」の歌には他者への思いやりが溢れていた。解題をすると多くの歌が「久永リスペクト」なものが多く、追い出し歌会の題詠として誠に盛り上がる歌会であった。時間もたっぷり3時間、外の雨を忘れるほど詠草に酔い痴れる時間であった。

ようやく普通にできるようになった追い出し歌会
そして次の世代の1年生会員たちが今後を逞しく受け止める
卒会生の個々の思いを存分に受け止める会であった。


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