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声を忘れた倭人たちへー「群読フェスティバル」最終章

2023-02-13
羽田空港から宮崎空港
その足で宮大まちなかキャンパスへ
一夜を跨ぎいよいよ「群読フェス」最終章へ

人との繋がりが次々と分断される昨今、新型コロナのみならず人為的な断絶も深刻だ。人々が集まることが忌避され、繋がるための声はマスクによって覆い隠されている。人は良くも悪くも「慣れる」動物である。だが悪意のある人為には、素直に声をあげたらいい。それにしても、思っている以上の「人の縁」というものがあるものだ。別々に航空券を予約したのに、なぜか隣の席。これを「縁」と言わずして、なんと呼ぼうか?真山知幸さんとともに宮崎ブーゲンビリア空港に降り立つ。到着出口には「マッチング短歌・日向」の表示があり、撮影さえ行われている。通り過ぎるわけにもいかず、担当者と思しき人に問いかけるとやはり「日向市」の企画であった。どうやらNHKの番組で特集が組まれるらしい。数人の方々と名刺交換をして、また新たな縁を紡ぐ。妻のありがたい迎えで、そのまま市内中心部へ向かう。スタバで真山氏と打ち合わせ、名店で蕎麦を天麩羅とともに。

2月11日正午に会場入りし、本番前日のワークショップが開始された。「声を上げて何かを描写すると、不思議とその感情になる」これまでのワークショップとは反対の発想を冒頭に提示して開始。参加者の群読において、和みがない部分をいかに柔らかく和合させていくかが課題だ。アドバイザーとはいえ、自らもいくつかの群読作品の読み手に加わる。「自ら動いて見せる」のがこれ以上ない助言と心得る。真山氏の書き下ろし脚本についても、著者が加わり参加者の声が生きたものになってきた。あっという間に前日リハを終え、夕刻になった。真山氏はまずは宿泊先へチェックイン、その後に餃子の銘店へいくと既に3人ぐらいが店の前に並んでいた。妻が迎えに来てくれる時間になったので、餃子は諦めて予約した地産地消の隠れ家へと向かう。「店」というのは、人で繋がり人をつなぐ。お店の人たちとのご縁は、「声と笑顔」によって支えられている。冒頭に記した「分断」は、あからさまにこうした「店」を襲って来た3年間だった。それだけに今からあらためて、ご縁を大切にせねばと思う。栄養を十分に補給し、真山氏を宿まで送り帰宅。

2月12日午前10時集合、いよいよ本番の朝だ。30分の会場準備を経て、前田晶子さんの声の準備体操から。その後、約1時間の本番リハーサルを実施。会場に用意されたチキン南蛮弁当を真山氏と頬張り、午後1時の開演に備える。会場はまちなかキャンパス前の若草通りアーケード商店街。偶然に道ゆく人々にも、声が自然と届く環境への挑戦である。開演前に真山氏と僕がともに最新著書を販売するコーナーを設置、すると早速に通りがかりの老人が手に取り、そのまま購入をしてくれた。「眼の前で本が売れる」ことの貴重な体験と真山氏、著者というのは実は閉鎖的な書く現場から、読者を望み見ることなく書いているのかもしれない。著者はもっと「街に出る」べきなのだろう。いよいよ午後1時開演、プログラム通り順調に群読が進む。その名も「餃子王子」も会場に登場し、その場の雰囲気が盛り上がってくる。こうした「本番」の日常とは違う「時間感覚」、「昂奮と陶酔のあはひ」とでも言っておこうか。約1時間半のプログラムは無事に完遂し、フェスティバルを無事に終えることができた。その後、キャンパス内の教室にて全員で振り返り、一般からの参加者はもちろんであるが、スタッフの健闘を大いに讃えるコメントをした。今回の企画はひとりの学生を起点に、県への申請、計画、スタッフチームの構成、アドバイザーの招聘など、実社会で求められる学びが満載であった。「スタッフの学生には10単位ぐらいあげたい」という言葉を贈った。そしてまたいつもの「祭りのあと」の気分。真山氏とともに宮崎空港へ向かい、マンゴーソーダフロートの甘さに疲れを癒す。長くも短い、2日間が終わりを告げた。


街にはマスクの奥で声を忘れた倭人たちの群れ
商店街という人と人との交差点で心と声を空に放つ
参加者・スタッフ・アドバイザーそれぞれの胸に咲いた分断を超えるための熱き思いがここに。


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