朝ドラ「生きるための短歌」を宮崎でこそ
2022-12-22
「屋上を巡り続ける伝書鳩飛べるよ高く浮き雲よりも」主人公に幼馴染が贈った短歌の秘密は・・・
そして歌を紙飛行機に託して飛ばす粋な計らい
朝の連続テレビ小説は、ささやかな出勤前の楽しみである。元来は「ラジオドラマ」が発祥という15分間に「生きるドラマ」が仕込まれており、ついつい涙腺を刺激する場面に出逢うことも少なくない。今作の「舞い上がれ」では、主人公がパイロットを目指す過程で、航空学校宮崎校で学ぶ場面が1週間で構成された週もあり親しみが増した面もある。ジェンダー平等観念の低い日本社会にあって、女性パイロット(この言い方自体にジェンダー観念がないのだが)を目指すヒロインの苦労の階梯を描く物語は社会の風穴を開けるという意義もある。現に宮崎に本社があるLCC・ソラシドエアでは初めて女性機長が就任したとのニュースも今年に聞いた。サッカーは先日のW杯で「9位」という位置付け、そして世界ランキング20位まで上昇したと云う。しかし「ジェンダー男女平等」や「報道の自由度」に関しては、かなりの後進国であることを我々は自覚すべきだろう。
さて朝ドラで何より注目しているのは、主人公「舞ちゃん」の幼馴染「たかしくん」が短歌で心を伝える場面である。就職したのちに会社を飛び出した際も五島列島の灯台で三日三晩を過ごし、短歌で生きることに光を見出す場面があった。そして昨日は、主人公がリーマンショックで就職が1年延期になった状況を冒頭に記した短歌を贈って励ました場面があった。上の句「屋上を巡り続ける伝書鳩」は「舞ちゃん」が「飛びたくとも飛び出せない」現状の苦悩を比喩的に表現している。しかし、下の句で「飛べるよ高く浮き雲よりも」と将来への希望を詠い激励している。さらには「折句」といって「五七五七七」の各句の頭の音を辿ると「お・め・で・と・う」というメッセージになるという技巧的な言葉遊びが隠されている。これは現行の高等学校学習指導要領「言語文化」において、創作的な活動として実践せよと明記されている技法である。それを「生活実感」がある場面でメッセージ性を含んで使用された例として、貴重な場面をドラマは描いたといえる。しかもその短歌が「紙飛行機」に記され飛ばされる。こんな「文学」を生活の中に活かしたあり方、この国はせめてこうした「豊かな心」を持つという点で、世界ランキング上位を目指すべきではないかと思う。
せめて「宮崎県」では日常に短歌を!
歌言葉を紙飛行機に載せて世界に飛ばそう
本当の「豊かさ」が目指せる県を思い25日の県知事選に投票したい。
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