学生たちが創るちから
2022-12-15
「プロジェクションマッピング×朗読劇」公演構想2年半の到達点を見る
「主体的対話的深い学び」はもちろん大学においても
大学図書館は、交流ができる場であり孤独になれる場であり創発ができる場である。2020年7月にリニューアルオープンした附属図書館であるが、各フロアごとに前述のようなコンセプトを叶える場を目指している。「学び」は時に「孤独」になって自己を確立していくものであるが、同時に「自分ひとりでは気づけないことに気づく」対話の場が必須であるのは昨今の教育において自明となってきた。さらには「創発」と呼んでいるが、新たなイノベーションを起こすことで「学び」はより自発的創造的なものに進化していく。「知の交流拠点」としての大学図書館が、現在向かうべき姿である。とはいうものの、学生の自発的な活動を多様に展開するのは容易なことではない。「創発WG」を据えて何人かの先生方に協力を得て、いくつかのユニットを形成してきたがそれが継続するちからを持たせるためには、強力なリーダーとなる学生の存在との出逢いが求められる。あくまで支援者(ファシリテーター)に徹しながら、学生たちのエンジンに燃料や潤滑油を送り込むのが僕の役目と心得て進めて来た。「指示待ち」ではない前向きな主体性、教員に限らず現在の日本の若者に一番必要な学びの機会ではないのか。
工学部大学院生のデジタル投影機器を扱う高度な技術、だが何を素材にしたらよいのか?という相談が図書館の「創発」の場に投げ掛けられた。そこに「文学(国語)」を学ぶ教育学部の学生たちがいる。当初は短歌の素材となる自然の場のマッピングも製作し、それを投影しつつ歌会で批評する試みに至った。今回はさらなる展開であり、教科書教材を用いた「マッピング×朗読劇」という応用となる。既に小欄にも記したように、附属小学校でも6年生を対象に授業も実践した。さらに「エンタメ」的要素を持たせながら、創発朗読劇をいかに公演として成立させるか?ある意味で「文学的文章の国語授業」における夢のある展開である。文理融合のちからとともに、多様な人々の享受にどう応えていくか?という「社会」とのセッションが求められる機会と思う。教員にはあらゆる意味で「社会性」が必要だ、というのが僕自身が「教員」になった際の約束であり信念である。仲間と協働しながら「社会」に向けて、訴えるものを創発する。学部課程では学べない部分を、こうした「創発」活動は補完してくれる。ある意味で、思うようにやって「失敗から学べ」ばいい。ICTと文学の出逢いを叶えながら、学生が「創発」に学ぶ過程を大切にしたい。
多くの苦難を努力で乗り越えて来た結果
さらに「学内」という「甘え」の枠を超えてどのように学外公演を展開するか?
小さなちからを付けたら、さらなる「ちから」に結びつくことを期待している。
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