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「教える」のではなく「短歌を学び合う」〜教員研修覚書

2022-12-14
早期教育というような概念ではなく
声と身体感覚を活かして三十一文字を語る
1年生でも、たぶん幼児でも楽しめる短歌づくり

附属小学校にて終日の教員研修講師。昨年度までは中学校のみであったが、本年度から小学校用「和歌短歌の主体的対話的学習活動」というテーマ設定での実施となった。県内の小学校教員5名が参加し、ゼミ4年生が「教職実践演習」の一環で3名が参加した。先生方の話を聞くと、県内各地域における「短歌学習」にも温度差があることが知れる。やはり若山牧水を市をあげて顕彰している日向市を中心に県北の小学校では自ずと短歌熱も高い。さらには西郷村などでは、牧水と交流のあった地域出身の歌人・小野葉桜の短歌の朗詠を独特な調子で行なっており地域としての特色も感じられた。だがこうした活動も教員間で伝承を確実にしていかないと絶えてしまうという危機感が先生方の中にあることを知った。「短歌県づくり」として全県に活動の波を拡げることと同時に、既に地域ごとにある活動の継承にも心を配るべきという発見があった。研修の場とはその場限りの知識の切り売りではなく、県内各地域の先生方との出逢いであるとあらためて思う。

研修は実例を用いて、受講者のコメント参加型で展開した。日向市立坪谷小学校の朗詠の録音を聴いていただき、その後、同じ調子での朗詠体験。「短歌は声にして初めて味わえる」ことを実感してもらった。次に二首の短歌を比較して、「説明的な歌」と「対象の特徴を描写した歌」との違いをコメントしてもらう活動へ。さらには坪谷小学校の児童作品について、どこをどのように褒めたらよいか?という課題演習に入った。次第に受講者のコメントも冴えてきて、雰囲気ができてきたところで短歌創作へ。「学校」を題材にした短歌を概ね20分で創作してもらう。その後は通例の歌会形式で無記名詠草の批評会、教員が日常の学校で何をどう見ているかがわかる内容で大変に興味深かった。「創作指導」について「どのようにしたらよいか?」という質問を現場の教員から受けることが多いが、道は一つ「自らが創作をしてみる」しかない。児童らとともに短歌表現に親しみ語り合うことで、様々な発見があるのが短歌活動をする意義でもある。歌会での多様な解釈を聞くことで、参加者には向き合う児童たちとともに短歌を学び合おうという気持ちができたであろう。「教える」のではない、参加者すべてに「学び」があるのが短歌の歌会である。

1年生の秀逸な短歌表現に学ぶ
その年齢でしかできない日常生活に即した歌
あらためて学校ごとの交流を進めるべきという気づきに至る。


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