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比喩とユーモアー第375回心の花宮崎歌会

2022-11-13
比喩こそ歌の醍醐味
ジョークではなくユーモアのある歌
冒頭は牧水賞受賞の奥田亡羊氏の歌2首鑑賞

諸々の事情で通常の第1土曜日から、今月は第2土曜日開催の心の花宮崎歌会。冒頭に伊藤一彦先生の「旭日小綬章」叙勲について、会員全員から温かい祝意が湧き起こった。また仙台へ移住された俵万智さんのこれまでのご参加に感謝する弁とともに、今後も宮崎歌会には「5首選」として参加し続けていただけるとの紹介があった。毎月1回はお会いできる可能性がなくなったのは寂しさが拭えないものの、俵さんの宮崎歌会への愛が感じられて誠に嬉しいニュースであった。冒頭は9月から開始された伊藤一彦先生の2首鑑賞、今月は牧水賞受賞が決まった奥田亡羊氏の歌から。歌集『花』のタイトルにもなったであろう「かけてゆく子どもの声は遠く近く/風にちぎれて耳に咲く花」が取り上げられ、「声」を「耳に咲く花」と比喩した点に「声へのいとしさ」が表現されているとの鑑賞。またスポーツなど様々な取材経験を素材にした歌も取り上げ、素材の豊富さにも言及された。また「二行書き」の表記方式は石川啄木が試みてからあまり為されていないが、表現方法の挑戦として歌の懐が深くなっているとのこと。短時間ながら伊藤先生の鑑賞から、歌をより良くするにはどうするか?という要点が的確に伝わってくる。

さて、出詠47首、互選票高点は5票2首、4票2首、3票2首、2票4首、1票8首という結果であった。今回の歌会を通じて要点となったのは「比喩」と「ユーモア」。まずは「比喩」こそが歌の醍醐味という伊藤一彦先生の指摘もあり、各歌の「比喩の質の高さ」が読み解かれていく。比喩は読み手側の受け止め方の深浅にも関わり、比喩の奥深さを読み解けば腑に落ちる描写の精度が表れることがわかる。『万葉集』以来の「寄物陳思」や『古今集』仮名序に示された「六義」で論じられたように「やまとうた」表現の根幹を支えるのが「比喩」と言ってもよい。次にユーモアの歌、古典和歌から明治大正期の歌まではなかなかユーモアが含まれることも少なかった。だが現代短歌に至り、素材の自由さとともに様々なユーモアが含まれるのは豊かな心が担保されているということだろう。「ユーモア」は人を笑わせるだけの「ジョーク」とは違う、という伊藤一彦先生の指摘。ある意味で江戸俳諧の「洒脱・軽み」などをうまく融合して現代短歌に至ったようにも思われる。「(表現者に)余裕がないとユーモアは詠めない」とも伊藤先生、肩肘張った歌から誰もが素朴に微笑むことのできる温かい歌、といったあたりが宮崎歌会の「ユーモア」の特徴でもあろうか。歌会は約2時間半に及び、充実の時間を今月も過ごすことができた。

来年は久しぶりに新年会の計画も
歌会後は伊藤先生とともに明日の牧水トーク&朗読のリハーサルへ
実りの秋、充実の心の花宮崎歌会である。


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