質の高い野球をー宮崎キャンプのオリックス日本一
2022-10-31
NHKの中継権が無く、地元局が他を放映するとどうやら「宮崎あるある」らしいいのだが
休日の楽しみ方、いや1年間の集大成として
オリックス・バッファローズが26年ぶりの日本一、チーム名に「バッファローズ」を冠しての日本一は初めてとか。球団再編により複雑な心境のファンの方もいるようだが、「阪急」「近鉄」時代の延長として、実力のパ・リーグを存分に見せたシリーズであったように思う。一方のヤクルト・スワローズも2年連続の日本シリーズ、前半の巧みな試合運びは見事であった。大阪ドームでの逆転サヨナラ劇を機に、大きく流れは変わった。シーズン本塁打記録を塗り替えた村上に快音が聞かれない展開になったのは、オリックスがよく封じ込めたということなのか?いずれにしても「日本プロ野球」の質の高さを、存分に味わえるシリーズであったのは間違いない。まさに日本シリーズはこうした質の高い試合であるべきで、この時期の風物詩として位置付けたいものだ。このジリーズの野球の水準こそが、日本プロ野球の未来を背負うといってよい。こうした意味で、バファローズとスワローズの闘いは、価値の高いものだったと思う。
宮崎は、オリックス・バッファローズのキャンプ地である。僕が宮崎に移住して2年後の2015年より宮古島から、施設設備や他球団とのオープン戦が組みやすいなどの理由で宮崎市に移転してきた。以前は殺風景だった運動公園がキャンプ地として年々、賑やかで華やかな様相になってきている。キャンプの成果よろしく2年連続リーグ優勝、そして日本一になった。パ・リーグのライバル・ソフトバンク・ホークスとともに宮崎で腰を据えてキャンプに取り組むチームが、質の高い野球を展開してくれるのは実に嬉しいことだ。既に宮崎は「巨人のキャンプ地」というよりは、パ・リーグの覇者に加え「西武ライオンズ」「広島カープ」と上位に来るためのチーム作りのキャンプ地となっている。それにしても、この日の夕刻から日本シリーズ決戦TV中継を観ようとすると、衛星放送を含めて「放映局が無い」ことに気がついた。前述した「キャンプ地」として応援しているファンも少なくないはず。NHKに放映権が無く、民放2局が他の番組の放映を選択すると宮崎での中継が無い事態となる。仕方なくWeb速報で途中経過を捕捉するしかなかった。お陰で大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に専念できて、壮絶な武士の時代の生き様に複雑な思いを抱いたのではあるが。
10月の恒例な行事として
Webに比してTVの衰退なのか?日本シリーズこそは全国津々浦々で味わいたい
キャンプ地として番組編成は再考を願いたいものだ。
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記憶とは個の解釈に他ならず
2022-10-30
なにをどれほどの精度で記憶しているか?遺しておきたい記憶・消してしまいたい記憶
記憶とは個々人の解釈なのだと知る
今月の週末は学会出張が2週連続、さらに公開講座となかなか忙しかった。久しぶりにゆったりした週末となったので、母との買物もじっくりできた。ちょうど「29(肉)の日」にあたり、良質な肉が3割4割引で並んでいた。特に今回「肉牛の部」で全国4連覇を達成にあやかり宮崎牛も大幅割引だったので奮発してサーロインステーキを買い求めた。この週末の買物は、宮崎の食材の良さを確かめる機会でもあり、また母と会話が進むよい機会でもある。平日はなかなか仕事ばかりに専心することになり時間が取れないゆえ、週末の時間は貴重である。それでもやはり、遠く離れることなくともに同じ場所に住んでいるというのは息子として安心感がある。両親が東京在住時もLINEや電話でのやり取りはあったが、やはり直接の会話ができるというのはいい。両親も「宮崎で生活できているから長生きできている」と言ってくれており、まさに「老後の地方暮らし」を僕の仕事の流れが演出してくれた形である。
せっかくなので買物には行かない父を交えて、しばし話をする時間を持った。普段は話し相手のいない父も、僕がいると諸々と過去の記憶が蘇るのであろう。高齢になると記憶を掘り返すような行為が脳に刺激となり活性化すると聞いたことがある。果たして、どんなことを言うのだろうかとそのまま話したいように話すよう促した。中には母としては思い出したくないような内容もあり、幾度か母も制止したが僕はそのまま話すように促した。聞いていて発見したことは、「記憶」は個々人の「解釈」によって刻まれているということ。ある意味で当然のことなのだが、我々は概して「記憶」が誰しも同様で違わないと思い込んでいないだろうか?「国語」の授業で扱う「登場人物の気持ち」に「正解」があるかのように、「記憶」にも唯一無二の「正解」があるように思い込んでいる。だが眼前の風景でさえ、個々人の思考の傾向を反映し多種多様な記憶として刻まれることを再確認できた。「登場人物の気持ち」は教材の表現を元に筋を外していなければ多様な「解釈」が許容される。延いてはあらゆる「他者の話」というのは、その人の「思考フィルター」を通した「解釈」なのだと思うべきだ。まさに「父の思考」はこのようであったのか!と納得する部分が濃い回想話であった。
個々の記憶が違うからこそ
擦り合わせる対話が必要になる
多くの家族が両親と語る時間を少しでも取れますように。
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武器商人の高笑いー利権で人が死ぬ戦争の構造
2022-10-29
「トマホーク購入検討」というニュース幕末を省みれば、新政府側に英国が幕府側に仏国が「武器供与」
矛盾だらけの利権レースは21世紀でも終わらない人類の愚劣
小学生の時、算盤塾に通っていた。塾生には隣の区の小学生もいて、助手の若い先生が授業をするので次第に悪戯の度合いが過剰になってきた。しばらくすると2校の小学生は対立するようになり、相互を「生意気だ」と牽制するようになった。事はエスカレートし互いへの嫌がらせに発展してしまった。元より喧嘩嫌いの僕は、なんとかこの諍いが鎮まらないかと心の中で祈っていた。しかし、僕の小学校側の先輩もいて「対立」の図式に与しないと、それはそれで叱責されるのでやむを得ず「戦う」ふりをしていた。そしてとうとう双方は、「決戦」をすることになった。両校のちょうど中間に位置するのが天下の「開成中学高校」である。当時は何ら怒られることもなく、その校庭で遊ぶことができた。「みんな勉強して校庭を使用しないのか?」などと不思議に思っていた。「決戦」には双方が「銀玉鉄砲」「パチンコ」「盾(ベニヤ板)」などの武器を持参した。僕も駄菓子屋で買った代物を持参したが、どうしても相手を撃つことはできなかった。相手方は飛び道具として「イボガエル」を準備して、こちら側の「捕虜」になってしまった子の顔に近づけ嫌がらせを見せつけた。僕はそれには絶対になりたくないと思い、ほぼ「逃げる」防戦一方で凌いだと記憶する。最終的にどのように決着がついたかもわからず、「決戦」は特に怪我人もなく一人の子が「イボガエル」で泣いただけで終わった。
算盤塾での口喧嘩が、なぜ「武器」や「イボガエル」まで使用する喧嘩になったのか?他の区の小学校同士、隣人の多くは対立的になるものだ。そこに駄菓子屋で販売されていた「武器」の「実戦使用」という欲望が加わった。近隣の駄菓子屋では一時的に「銀玉鉄砲」や「パチンコ」の売り上げが伸びただろう。ウクライナ侵攻でよく耳にする「NATO側の武器供与」という方法、「侵攻されたウクライナを支援する」という大義はあるが、NATO諸国に関連する武器商人たちの高笑いが裏で聞こえやしないか?昨日のニュースで報じられた「政府がトマホーク(巡航ミサイル)購入検討」は、決して「国民の理解を得る」という次元の話ではないだろう。図式的に見れば、アジア支援の「武器供与」に自ら金を払って参加する名乗りを上げ「紛争」の一員として与することになる。周知のように湾岸戦争などでは、「トマホークの撃ち合い」のような様相であったことは記憶に鮮明だ。先週日曜日の「NHKスペシャル・幕末史」では、幕末「戊辰戦争」においてやはり冒頭に記したような英国・仏国からの「武器供与」が内戦の行くへを左右したと知った。その背景には、西洋列強の植民地化政策があったことは明らかだ。欲望が欲望を膨らませ、自らが主導権を取りたいがため、「武器供与」によって内戦で多くの血が流れる。連射できる最新兵器で新政府側も幕府側にも多くの犠牲者が出た。「武器供与」とは「戦争」を利用した利権獲得に他ならない。あの算盤塾で、僕らは「算盤の実力」を競えばよかったはずだ。銃刀法があるゆえに、僕らの国では治安が保たれている。銃規制さえできず巷間で乱射事件が絶えない国の武器商人の高笑いに加担するほど、この国は未だに愚かで西洋列強に隷属的であることに自覚を持たねばならない。
「攻撃できる」から「攻撃を受ける」可能性が増す
小学生の紛争は明らかに双方に独裁的な主導者がいたから起きた
開成中学高校の校庭が使用できたのは「ペンは剣よりも強し」の校章のおかげだろう。
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親を思うこころー俵万智さんとの6年半
2022-10-28
牧水は常に故郷の母を思い慕い沼津に建てた家に母を呼び一緒に住みたかった
高齢化社会によって親と過ごせる時間もさらに伸びて
宮崎日日新聞に「俵万智さん仙台に移住」の記事が大きく掲載された。確か「宮崎に移住」という際は1面であったような記憶もあるが、いずれにしても宮崎にとって重大なニュースだ。俵さんが宮崎にお住いの約7年間、日頃の「心の花宮崎歌会」をはじめ様々な場面で多くの学びと刺激をいただいた。特に2017年10月「和歌文学会宮崎大会」でパネリストをお務めいただいたこと、2021年6月「日本国語教育学会西日本集会(オンライン)」にて「短歌創作学習」について県内小中高の授業実践者との対話に加わっていただいたことは、僕にとっても大きな恩恵をいただく機会であった。宮日新聞の連載「海のあお通信」では、「友人」などという表現で何度か僕のことも書いてくれており、7月には肩書き付き実名で限られた字数の中を明記してくれたことも大きな思い出である。あらためて俵万智さんへの感謝の思いが、記事を読みグッと込み上げてきた。だが寂しいとともに、俵さんが移住の理由が「高齢のご両親のサポート」とあって大いに納得するものであったのも確かである。
前述した2017年10月「和歌文学会宮崎大会」の準備も大詰めとなった頃、「(僕の)父が仕事で脚立から落ちて腰を骨折した」という連絡を母から受けた。確か開催まで2・3週間という時期であったと記憶する。考えること行動すること全てが「学会大会開催」に傾き、まず東京までサポートや見舞いに行く余裕はまったくなかった。母も僕の状態を気遣い常に「特に来なくとも大丈夫」だという連絡をくれていたが、こちらとしては「今後は歩けなくなったら」など不安ばかりが募った。なぜこのタイミングで怪我をするのか?などと父への思いもなかなか寛容にはなれなかった自分を思い出す。この怪我も手伝って、両親は自らが経営していた建築会社を閉じることを決断した。その後、2019年9月には希望して宮崎に両親は移住してきた。その半年後の「コロナ感染拡大」の始まり、実にこれ以上ないタイミングで僕の両親は宮崎に移住してくれて、僕がサポートしながら生活をすることができている。今にして考えれば、父の骨折は「人間万事塞翁が馬」だったのかもしれない。この2年半「コロナ禍」の東京に両親を置いていては、たぶん僕自身が宮崎にて甚だ辛い思いをしたであろう。両親が老後を過ごすにあたり、恩義を深く感じる息子として、なるべく一緒に居る時間を長く取るべきという思いをもって俵さんに共感した次第である。
牧水が叶えられなかった母親との時間
俵万智さんは今後も宮崎での短歌賞や牧水短歌甲子園へ関わりは続く
「親を思うこころ」俵万智さんとともに今後の短歌に詠む大きなテーマがここにある。
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よきものは引き継がれるー「昭和の活力」に光を
2022-10-27
「古典」が世に遺されているように今の学生が「山口百恵」が好きだと言う
あの活力と自由と均衡の時代を未来へ引き継ぐために
『図書新聞』なる業界紙に昨年暮れに出版した著書の広告が出たと、出版社から郵送されてきた。今年も「クリスマス」2ヶ月前となり、「季節もの」としてさらなる販促に力を入れてくれたようで嬉しい報せであった。自らの著書がどれほどの売れ行きか?というのは目に見えず測り難く、通販サイトのレビューの星の数を見る機会も少なくない。また東京へ行くと大手書店に入り、自著が在庫にあるかなど確かめる。反響の多くは講義でテキストにしている学生たちで、前期の本務大学の基礎教育科目110名程度には自著に沿った内容を展開した。また後期は非常勤先の大学での基礎科目「文学」20名程度において、テキストとして使用している。こちらは前提となる若山牧水や恋の歌について10月中に3回講じてのち、来月より1章から内容を講義化していく。するとちょうど今年のクリスマス前に、短歌もJ-popもクリスマスに関する内容を実施できて、学生たちはその味わいをクリスマスに持ち込むことができるという計画だ。また後期公開講座「牧水をよむ」の第3回目が12月24日に当たり、ここでは「出版1周年」のスペシャルクリスマス講義を、ゲスト講師に伊藤一彦先生をお迎えして実施する予定である。
自著には「1980年代のクリスマス」を取り上げる章がある。当時のJ-popを紐解くうちに、自らの若き思い出や80年代の前提となった70年代、つまり「昭和」の素晴らしき文化的世相を語ることになった。家族による「ホームクリスマス」が盛んだった60年代から70年代、まさに「テレビ」の時代であって、凄まじい視聴率の「8時だよっ!全員集合」のことなどにも触れている。ここのところ小欄にも追悼文を記したが、仲本工事さんそしてアントニオ猪木さんなど、「昭和」を活気づけてきた人々が次々と世を去っている。そんな悲しい機になおのこと、「昭和」の素晴らしきものを次の世代に引き継ぐ役割は僕の世代の責任ではないかと考えている。昨日の非常勤先の講義で「サザンのことを知っているか?」とか「君たちの世代で好きなミュージシャンは誰なのか?」などの問いを発したところ、ある学生が「山口百恵」と答えて感心した。以前にもゼミ生らとカラオケに行くと、「百恵ナンバー」を上手く唄う学生がいた。まさに昭和を生きた親たちが子どもらに伝承しているということらしい。また最近の「昭和」を特集した歌番組なども多く、その影響を受けていると云う。非常勤先から本務校に戻る際には、実に「秋桜」が綺麗に咲き誇っていた。「昭和は遠くなりにけり」ゆえに、「古典」の伝承のようにその文化を先の世代に手渡したい。
政治家なども大物が多かった
均衡がもたらす「平和」と「成長」の時代
まさに現代短歌史として1300年の歴史の上で「昭和」を考える。
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プラスチック海洋汚染の罪
2022-10-26
宮崎は北太平洋2番目のウミガメ産卵地(1番目は屋久島)打ち上げられたカメ・イルカ・クジラの胃袋から汚染プラスチックが
僕たちが日常で目にするお菓子の袋から釣り餌の袋まで
宮崎の海は綺麗だ、と我々は平然と言う。宮崎の海の綺麗さを、私たちは短歌によって表現し伝えようとする。だが昨今はよく、「科学的エビデンス(根拠)」が諸方面で求められる世の中になった。「綺麗だ」とは「日常語」であり、現代短歌ではこの言い方は通用しない。言い方を換えるならば、我々は日常語としての「綺麗だ」という言葉にあまりにも無責任である。世間では「インスタ映え」の用語に象徴的なように、表面的な写真の美しさを競うような時代に入った。問題は「表面的」の奥で我々は、自身の手で汚染を進行させてしまっている「罪」を背負うということだ。宮崎の海を美しいと写真を撮る前に、私たちがすべきことがあるのではないか?今日は「プラスチック資源」のゴミ回収日であるが、たかが1週間で大きな袋にいっぱいの「廃プラ」を僕の家からも排出する。減らしたいとは意識していても、日常生活をするだけで必然的に溜まってしまうのが消費社会の現実だ。収集されるならば適切に処理されるのであろうが、ストロー・ポリ袋・人工芝の破片、それに洗顔「スクラブ」までが「プラスチック」なのだと知り、意識できないうちに汚染を広げているのかもしれない。
所属大学で「イブニングセミナー」という、学内外へ学部融合テーマを発信する行事が開催された。オンラインでの開催であるが、それだけに学外の遠方の方でも参加できる利点がある。今回のテーマは「環境問題」、「リサイクルと地域環境」「森林とミツバチ」「ウミガメとイルカと海洋ゴミ」のそれぞれのテーマで各分野の先生方から発表があった。特に「ウミガメとイルカ」については学部で親しい理科教育講座の先生の発表でもあり、前述のような意識をあらためて深く持ったのである。宮崎に移住して、僕自身も東京ではあり得ない美しい空気の中で生きている。同時に東京では見たこともない巨大な蜘蛛とか百足などに、家で遭遇する経験もした。虫たちが生きられるということは、それだけ澄んだ環境があるということ。虫嫌いな僕であるが、最近はだいぶ寛容になることができた。そして宮崎の海の美しさには、明らかな根拠があることを知った。冒頭に記したように「北太平洋2番目のウミガメ産卵地」であるというのだ。それも僕が馴染みのある青島から日南方面にわたり、産卵地も少なくないと知った。だが残念なことに死んで打ち上げられたカメの胃袋からは、ポリ袋などが発見される。それが直接の死因かどうか?は特定できないという話であったが、イルカやクジラを含めて海洋生物が「廃プラ」を食べてしまう現実をなんとか僕たちの手で回避しなければなるまい。世界的に有名になった動画「鼻にストローの刺さったカメ」に啓発され、「紙製ストロー」などの活動が始まったことはよく知られている。家庭からの洗剤の排出なども含めて、僕たちはまずは身近な宮崎の海を護らねばならない。
SDGsと号令ばかりではなく
水の循環という自然の豊かさを見つめ直そう
ウミガメ・イルカ・クジラなど多くの海洋生物の生活する海という意識を深めよう。
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短歌県の新聞「俵万智賞受賞歌」と「若山牧水賞」速報
2022-10-25
第4月曜日連載・俵万智さん「海のあお通信」そして俵万智賞入賞歌は文化文芸欄に
速報として若山牧水賞・奥田亡羊氏に決定!
どのような状態であれば「短歌県」と呼べるのか?僕自身が考え、そして県庁文化振興の担当者の方々と何年にもわたり議論してきている。現代社会は政治・経済・社会、さらに文化においてもメディアの役割は甚だ大きい。明治以降、特に明治30年から40年頃の社会からはメディアによる喧伝によって、文化の質が大きく変容したことは多くの分野で指摘がある。なかでも新聞・出版の興隆は、文芸活動にも多様な変質をもたらせた。公共の場所でものが読めることから、「音読(文化)」から「黙読(文化)」へと変容したことも大きな要素である。明治という時代には明治天皇御製が新聞に掲載され、国民の心理に多大な影響を与えたことも指摘されている。また新聞にある文芸欄は今に至り、民衆の文芸投稿を促してきた大きな役割を果たしている。地方紙を含めて歌壇・俳壇・詩壇が、これほど賑わっている国は稀ではないのだろうか。
この日の宮崎日日新聞文化文芸欄は、左右両面を使用し毎週の「文芸投稿欄」とともに「俵万智賞受賞歌」を掲載した。毎年、この時期に実施される「俵万智賞」、県内在住・在勤者が投稿でき、毎年老若男女1000点以上の投稿がある。その受賞歌が一覧できるのは、「短歌県」の新聞として誠に誇らしい。受賞歌を眺めてゆくと、宮崎大学短歌会の学生さんや卒業生の歌、友人知人の歌もあり楽しい気分にさせてくれる。併せて、俵万智さん「海のあお通信」は「短歌ブーム」と題した内容。「牧水短歌甲子園」の全国版TV中継や若い人たちの「ブーム」について、的確に整理されていた。そして日中に宮崎日日新聞Web版の速報には、「若山牧水賞に奥田亡羊氏」が掲載された。奥田氏は僕も所属する「心の花」の歌人であり、結社会員の受賞に大きな喜びを覚える。今から、来年2月の授賞式への出席が楽しみである。一日中「短歌県」の新聞は大賑わいであった。
新聞=日常生活に短歌があり多くの県民が身近に短歌を読んでは自らが詠む
僕自身の公演「いとしの牧水」の告知も文化・文芸欄に
「短歌県」をさらに地固めするため諸方面で僕のできることに取り組む
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仲本工事さんを悼む
2022-10-24
ザ・ビートルズ前座での華麗なボーカル加藤茶・志村けんらへつなぐお膳立て役としても
体操コントはアイドルを巻き込み一世を風靡した
仲本工事さんの訃報を聞いてしばらく経つが、返す返すもあまりに突然の死が悔やまれる。2年前の新型コロナによる志村さんの死について、ようやく受け止められた矢先の出来事ともいえるだろう。熱狂的なドリフファンとして、僕自身のショックもなかなか癒されることはない。ましてや高木ブーさん・加藤茶さんらは、なかなかコメントも出せないほどのショックであると報じられている。志村さんの逝去後、3人はさらに結束し諸々の活動をしようとしていた矢先だとも聞く。年末には「ドリフ特番」も予定され、3人で「志村の分まで」という思いは強かったであろう。つい先日、加藤茶さんが志村さんの死に大きなショックを受けて、なかなか立ち直れなかった経験をバラエティ番組で語ってるのを観た。妻の内助の功により、加藤さんは立ち直ったのだと云う。いずれにしても交通事故という悲劇は、人々の生き方を大きく左右してしまう怖さを再認識した。
ザ・ドリフターズがザ・ビートルズ来日の際の武道館公演で、前座の1バンドであったのはよく知られている。あらためてYouTubeにある映像を観たが、仲本工事さんがギターを奏しながら華麗な低音でボーカルを務めている。長さんが「ドリフターズ!行くぞ」と声を掛け!ブーさんがステージを左右にドタバタ往来し、加藤茶さんはドラムを叩きながら首を上下に跳ね上げ、最後に全員でコケる。演奏後にマイクの前で加藤茶さんが「バカみたい」と言って、長さんが「逃げろー!」と号令を掛けてステージをバタバタで去って行く。この僅かな出番の中に、すでに「全員集合」の要素がたくさん詰まっていた。「全員集合」の後半コントの中でも、仲本さんの「体操コント」はいつも楽しみにしていた。バク転など他のメンバーができないことをクールにこなし、見本となってアイドルなどがそれに挑戦する。準レギュラーだった、キャンディーズのメンバーが前転後転などをこなし「ポーズ」をする姿にも僕は酔っていた。仲本さんの影響なのかどうか、僕は高校になって器械体操部に入部する。大学では宴会でバク宙が一発芸であったのも、仲本さんへの憧憬からかもしれない。既にあの世で、長さんと志村さんとどんなコントをしているのだろう。いや、高木さん・加藤さんがまだまだこれからも、ドリフの真実をこの世で語り続けて欲しいものだ。
幼少時から僕の生き方にも大きな影響のあったザ・ドリフターズ
諸々の意味で「老い」を受け入れていかねばならない時に
仲本工事さんのご冥福を心よりお祈り申し上げる。
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宮崎大学公開講座「牧水をよむ」第2章「牧水の孤独」その1
2022-10-23
ゲスト講師:伊藤一彦先生第二歌集『独り歌へる』(明治43年1月1日出版)
「いざ行かむ行きてまだ見ぬ山を見むこのさびしさに君は耐ふるや」
後期公開講座が開講し第1回を迎えた。前期に引き続き「第四土曜日」、ゲスト講師に伊藤一彦先生をお迎えし4回シリーズで1月までお送りする。前期の後を受けて今期は牧水の第2歌集『独り歌へる』第3歌集『別離』をあたらめて読み直していく計画だ。第1歌集『海の聲』によむことのできた、恋愛が結ばれた高揚感と相手への疑問や不安感。「結ばれた」とはいえ、恋愛はそこから苦悩が始まるといってよい。前期公開講座記事にも書いたが、今でこそ牧水の恋人・小枝子の複雑な境遇を僕たちは知っている。だが歌集出版当時は、牧水の恋愛の相手が誰だかも明かされるはずもない。決して第二歌集までは好調な売り上げではなかったわけだが、牧水が短歌に刻み込み普遍的な人間の苦悩を描くことは。次第に当時の若い人々に受け容れられていったのだろう。明治43年といえば、当時の若手歌人の多くが歌集を出版した当たり年だ。前田夕暮・与謝野鉄幹・土岐哀果・吉井勇・石川啄木など、今にして名の遺る歌人たちの歌集が目白押しだ。伊藤先生の指摘では、現在においてSNSを通じて若い人が短歌を発信し、比較的に簡易に歌集が出版できる状況と類似していると云う。「SNS」はさながら「文芸雑誌」、牧水が中心になって雑誌『創作』を発刊したのも明治43年であった。
「とこしへに解けぬひとつの不可思議の生きてうごくと自らをおもふ」永遠の「不可思議」であると牧水は自らの「生きてうごく」ことを思い詰める。自己存在のわからなさ、若さにあって誰しもが覚える「自我」への向き合い方、自己承認の壁。さびしさに向き合い恋人との逢瀬があったものの、相手と自らの「さかひ(境)」には「一すぢの河」があると云う。「杜鵑(ほととぎす)」の声に触発され、さびしさはさらに増し「涙とどまらず」「一滴(ひとたま)のつゆより寂し」と詠う。大学を無事に卒業して帰省すると、父母の髪は「みな白み来ぬ」を目の当たりにするが、それでも「子はまた遠く旅をおもへる」と故郷に留まれない自分を客観的に詠む。恋人とはいっそ結婚してしまおうと思い詰め歌には「わが妻」と表現し、新婚の家まで用意するがそこに恋人は来ない。「男二十五」の若さならば「あるほどのうれひみな来よとおもふ」と孤独と苦悩を自虐的に受け容れようとする表現も見える。そして「あめつち(天地)」という宇宙の母胎の中に存在する自分を、歌表現で確かめようとする。「ひとり」という語彙使用も甚だ多く、何にも囚われることのない「ひとり」を楽しむかのような境地を、牧水は歌によって発見したのであろう。この孤独の苦悩がなかりせば、牧水はここまでの歌人になっていなかったと伊藤先生の見解が印象的であった。
「あめつちに独り生きたりあめつちに断えみたえずみひとり歌へり」
話題は恋愛とは孤独とは、現代社会が抱える恋の問題まで
牧水は現代の社会においても諸々のことを考えさせてくれるのである。
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「三十一文字にかけた夏〜熱闘!短歌甲子園〜」宮崎先行放送
2022-10-22
今夏の熱き牧水短歌甲子園のドキュメンタリー11月3日(木・祝)19:45〜20:29 NHK Eテレ
地元の利として宮崎で昨夜は先行放送
今夏で第11回を迎える「牧水短歌甲子園」、その模様をNHKがドキュメンタリーを制作。全国本放送を前に宮崎だけ昨夜、先行放送された。全国に先駆けて観られる優越感とともに随所に知っている人々が映り、地域の誇りと恵みのある番組に感銘を受けた。注意してみれば、番組内で2度ほど客席で拍手する僕自身の映像も僅かに映り、あの熱い闘いを観戦した日々が蘇った。確かに会場では常に取材班のカメラが回り、舞台裏や楽屋の光景から参加した選手たちの熱い志が浮き彫りにされた内容に仕上がっていた。特に短歌という個別に多様な思いを表現する文芸ゆえに、概説的な番組構成では描けない側面があまりにも多い。取材は出場の準備をする段階の高校や家庭にまで及び、助言をする先生とのやりとりとか母親との対話を描いた点で、ドキュメンタリーとしても実に秀逸であったといってよいだろう。そして場面場面の間に織り込まれる俵万智さんのコメントが、「短歌とは心を伝える文芸」「日常を素材にするが日常とは違う言葉」であることを、鮮明にわかりやすい言葉にしてくれていた。
今夏で11回目ということは、僕が宮崎に移住する1年前から始まったことになる。確か第4回大会ぐらいには単独で訪れて観戦し、その後はゼミ生を伴って団体で観戦に出向いた。そんな折しも、審査員の一人である大口玲子さんから、「優勝校と大学生のエキジビジョン対戦」を街中で開催したいという話をいただいた。当時のゼミ4年生・3年生から3人を強引にチームに仕立てて、当該年の夏の優勝校・宮崎商業高校と闘った。結果は大学生の惨敗、だがただでは負けて帰らない。この3名のメンバーを起点に、「宮崎大学短歌会」が結成された。翌春、優勝校に本戦決勝で負け悔しい思いをした宮崎西高校メンバーの一人が、大学に入学してきてくれた。これにより「宮大短歌会」は一気に活性化し、それから6年の月日を数える。奇しくも若い人の間での短歌ブームの時代となり、SNSを介しての短歌の世界には明るい未来が見える。だがどうあっても、SNSだけではダメなのだ。日本でこれほど野球が盛んで高校生からプロを輩出するのは、甲子園大会があるからだ。WBCでの日本の2連覇という勝利のように、短歌が世界の詩歌として羽ばたくために「牧水短歌甲子園」は今後も回を重ねていくのである。
「牧水先生」も天から喜んで観戦しているだろう
若者たちの喜びも怒りも哀しみも楽しみも「短歌」に込めて投げ合う
「ことば」で豊かで平和な世界を目指す「短歌県みやざき」の大きな自慢の大会なのである。
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