生きた図書館つながる図書館ー図書空間から創発空間へ
2022-08-23
附属図書館の学習支援館内案内を一巡りして
「この空間で何を創発しますか?」
学校図書館司書教諭講習第3日目。「図書空間から創発空間へ」と題し、この日は会場となっている本学附属図書館の空間をどう活かすか?をテーマに進めた。小中高の図書室もそうだが、「教室」ではない特別な空間である。ある意味で「教室」は制約があり強制的なことを「やらされる」場であるとすれば、図書館(図書室)はその強制なき解放された自らが興味に向かう場であろう。小学校の時の記憶では図書室の開架書棚の片隅を「自分専用のスペース」と定めて、そのあたりに配架されている書籍をお気に入りにしていたことがある。たぶん当時の僕は、自分の興味だけで「選べる」ことに大きな喜びを覚えていたのだろう。「個別最適化」が標榜される現在の教育で、「図書室で自ら選ぶ」という行為はより重要度を増したといえる。さらにいえば単なる「図書空間」ではなく、多様な資料と人が繋がり新たな秩序を生み出す「創発空間」を目指すべきである。本学附属図書館をこのような趣旨で改修してきたことも具体的に紹介する機会ともなった。
午後は例によって活動と発表。「あなたならこの図書館で何を企画するか?」を様々に発案してもらった。(1)「相談窓口」として、小中高の「探究」課題との交流的なやり取りをする。(2)宮崎の「虫」などをテーマに「地域交流民泊ツアー」を企画し、県内地域の交流を図る基盤になる。(3)小学生の「遠足」の場として、施設のみならず大学生らをバディとして短歌作りをする。(4)マタニティヨガなどから始め「ライフステージごとの学び」を備える空間にする。(5)国際連携などの部門を活用し「異文化交流」の言語活動を学べる場とする。(6)大学附属図書館をベースに「オンライン博覧会」を開催する。など6つのユニークな発案が発表された。いずれも現実に実行したい内容であり、大学附属図書館に何が求められているかをこちらが学ぶ機会にもなった。「世界を始め地域から始めよう」という大学のスローガンは、こうして外部の人たちにも門戸を開く図書館でこそ具体的に叶えられるものと知ることができた。日々の講習には「イノベーション(新機軸・革新)」の要素を入れている。学校は本来は「保守的」な場であるが、現在のこの国が直面する閉塞感を打ち破るには「教育現場」の発想転換が必須であると確信する。
全国学力テストの結果から考えても
「学びに向かう力」こそが大切だろう
生き生き「創発」する空間をさらに多様に自由につなげてゆきたい。
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