テーマ詠「花火」ー宮崎大学短歌会8月例会(その1)
2022-08-10
今年は3年ぶりに花火大会が開催となる中でどんな花火をどのように詠むか
「儚さ」「散る」どこか人生の局面にもなぞらえて
大学は定期試験も終了し、事実上の夏季休暇期間となった。学生はいささかの開放感の中にあるのだろうが、レポートや答案を抱えている身としてはお盆までのこの期間が勝負。正直なところレポートを読む脳と短歌を詠む脳の切り替えが、大変に難しい季節でもある。含みを持たさずに客観的・論理的に書かれた文章のことばと、短歌に表現された言葉は大きな違いがある。などと考えつつ、出詠10首・参加7名にてオンラインにて歌会を開催した。授業期間が終わると附属図書館が17時閉館となることや、未だ県内の感染状況も厳しいことからのオンラインの選択だ。休暇期間としては実家に帰るという学生もいるので、オンライン開催は妥当なところ。開催方法が多様化したことは会の運営としても実施しやすい。さて今回のテーマ詠は「花火」、宮崎市内でも先週末には3年ぶりの「花火大会」が開催され、夏の風物誌として復活しつつある。打ち上げ式のものから手持ちの「線香花火」まで、若者が「火遊び」をどう捉えるか?興味深い歌会となる。
「しだれ柳」「家のあいま」「下駄の音」「家呑み」「初デート」「花火のあと」「線香花火」「ドーン」「蚯蚓腫れ」「着火」などを素材とした歌が並ぶ。「儚さ」に「恋」の体験が重ねられていたり、余韻や自己の花火見物の意識など多岐にわたった。「火を操る」のが動物と人間の多きな相違点だとよく言われるが、その際たる平和活用が「花火」ということになろうか。広く歌を読めば、人生の処し方や美しいものへの向き合い方についてを考えさせられる。自らの歌を含めて、詠草の歌たちは至って平和である。きっと僕らが「花火」に興じているのは「平和」であることを「忘れた」時間ということにもなるだろう。77年目の8月9日にして、僕らはあらためて長崎に祈りを捧げる日でもある。今回の詠草とは直接に関係はないが、日本三大花火大会で知られる「新潟県長岡まつり」の花火は、1945年8月1日の「長岡空襲」の惨禍を忘れずに平和を祈るためとして映画にもなった。(小欄2012年6月3日の記事に詳細あり)「花火に人生を詠む」その行為そのものが宮崎大学短歌会の平和への祈りなのだと思いつつ、オンライン歌会を終えた。
画家・山下清の言葉「世界中の爆弾が花火になればいい」
未来ある学生たちと夏の夜に短歌に向き合う
世界の至る所にある戦火への挑発を僕らはことばで冷静に語り続ける。
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