ただ元に戻ったと喜ばないためにー研究学会の方法
2022-05-23
研究発表25分・質疑応答15分午前3本・午後4本の発表後に総会
無事に対面学会を終えて考えたこと
この2年間の感染拡大期に一般化したのが、テレーワークなども含めたオンライン化だろう。我々が関わる研究学会もオンライン化して、最近でも「ハイブリッド方式(対面会場もオンライン視聴も双方を選択できる方式)」などがほぼ一般化している。地方在住の僕などにとっては時間的・地理的・経済的に誠にありがたい発展であるとも感じている。今回の中古文学会も同時双方向ハイブリッドではないが、2日間の様子を録画撮影してありしばらくの間に視聴が可能となる。参加者名簿には300人以上のお名前があったが「録画視聴」のみという方もいる。当日の受付での接触を減らす配慮ということだが、資料の事前配布などはシンポジウムや研究発表の予習ができるという利点もあった。開催校や事務局としては、こうした開催方法の選択だけでも大変なご苦労だと察するに余りある。それだけにコロナ以前よりも有効な議論ができて、研究のさらなる発展を期する方法はないものかと欲も出て来るものだ。
大学講義のオンライン化にあたり、必須な条件は「双方向の対話があること」であろう。一方的に動画を提供するだけでは、オンライン講義としては不十分だ。対面学会の良い点は、休憩時間や懇親会の時間に、質疑の延長が語り合えることのようにも思う。今回は先月の他の学会ハイブリッドに参加した際に、僕が質問をした院生の指導の先生としばらく立ち話で議論を深めることができた。同様の意味では、この2年間に開催されたオンライン学会の振り返りなども懇親会の席上で対話したかった思いがあった。研究発表は大切であるが、果たして対面でオーラルで語る意味を十分に成したものであるかは、今一度考えてみてもよいかもしれない。ラウンドテーブルとかワールドカフェなど、同分野の研究者がお互い刺激し合う方式などを既に取り込んだ学会もある。「話す聞く」ことで自らの考えが刺激を受けて更新するような方式を、文学系の学会でも模索しても良いのではないだろうか。ただただ「元に戻った」と喜ぶだけではない、いわばこの2年間が暗闇ではなく次へのバネになる期間であったことにするために、これを期しての革新が求められるのではないだろうか。
総会の議長を務め次期大会や事務局も決定
挨拶を交わして地方へ帰る事情などを話す風景
「この学会が本来やるべきこと」を乗り越えたところに未来があるはずだ。
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