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中古文学会春季大会ー3年ぶりの対面開催

2022-05-22
受付は置いてある名札を取るのみ
資料は事前配布にて会場要員を減らすなど
懇親会はシンポジウム会場にて黙食弁当から

東京地方は午前中からやや激しい雨、スーツの革靴を濡らしつつ会場となる専修大学神田キャンパスに向かう。靖国通り沿いにお洒落な商業施設かと見紛うほど、全面ガラス張りの校舎のエレベーターホールに入った。3階の学会会場に行くと受付に名札があり各自で探してそれを身につける、会場校の学生さんの手伝い人員を減らす配慮と聞いた。横広の真新しい教室に横を一席ずつ空けて座る。3年ぶりの開催とあって、久しぶりに会う研究仲間との再会が嬉しい。思わずその場で話し込み、マスクながら「密」などという概念を忘れている自分がいる。シンポジウムは「源氏物語を〈読む〉ー現在の研究」で中古文学会の原点のような内容であった。仔細に掘り下げられた「源氏研究」では、もう「落穂拾いしかできない」のではないかという危機感、あらためて「主題」「読者」「准拠の重層性」などへの問い直し、上中古の「無常」というキーワードを概観し『源氏』の「世」について時代の「気運」を読もうとする試みなどが基調発表された。その後、熟練した御三方同世代の発表に対して若手世代の司会者から鋭い突っ込みのある討議。これぞ「中古文学会」だったなあとやや懐かしさまで感じる雰囲気が漂った。それにしても会場校の方々は、マイクカバーを一人ずつ替えるなど感染対策に余念なくご苦労されていた姿には感心した。

懇親会も感染に深く配慮した方法が考案されていた。シンポジウム会場で事前申し込みをした高級弁当が配られ、そのままの席で各自が「黙食」。食べ終わる頃にシンポジウムのパネリストと翌日の発表者が挨拶をする。その後、最上階で都心の眺めよろしきホールへ移動、本来なら立食ビュッフェがある空間はただただ広く空いている。3年ぶりでマスクをして顔もよくわからないという配慮から、全員が15秒程度で名前と研究分野を自己紹介。しばし時間を要したが初の試みであった。その後は諸々の先生方とあれこれの情報交換の時間となる。僕は個人的に2020年秋季大会オンラインシンポジウムで「古典教育」に関するパネリストを勤めたので、その後に開催される初めての懇親会であるゆえ、諸々とご意見も伺いたかった。しかしやはり、こうしたことは討議の直後の熱いうちにしないとならないことも実感した。オンラインシンポジウムを終えた自宅書斎で、執拗にパネリストや他の先生方と酒を飲みたい気分であったことを思い出す。対面開催とはいえ未だ酒は難しいか、一歩一歩さらなる日常化を模索していくべきだろう。

「古典文学」の学会としていかなる将来へ向かうのか?
この2年間の対面なき空白期がどんな変化をもたらすだろう。
本日22日は7本の研究発表と総会が開催される。


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