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絵が見える群読ーリアルの想像か物語に入るのか?

2022-05-14
宮沢賢治「注文の多い料理店」3人による群読
「絵が見える」という感想もあり、面白いが怖い物語
さて?どのようなプロジェクションマッピングに致しましょうか。

前日のゼミ活動の成果を早速発表する機会として、附属図書館創発ミーティングを実施。文学教材としての『注文の多い料理店』の読み語り群読を、主に工学部の院生チームの学生さんや参加した先生方に披露をした。聴く側の人々には「文字資料」は提供しない。なぜなら、「文字」があるとほとんどの人が読み語る声を傍らに置き去り、手元の「文字」を黙読するからである。多くの講演や講習で試しているが、十中八九の人々が「声」よりも「文字」を無意識に好むものだ。世間一般では「物語は(文字で)読む」ものだ、と思い込んでいる人々は少なくない。たがそれはまだたかが100年間ぐらいの慣習であり、元来の文学作品は「声」で享受されていくものであった。「文字」である以上、紙面・机上・平板から物語が飛び出すことはなく、あくまで「字面」の上でのみの絵空事である。物語は人間の身体性を通してこそ生きたものとして蘇るのだ。とりわけ「声の文学」ともいえる、宮沢賢治の作品にはこの方法で味わわない手はない。

読み語りを聴いた工学部院生チームのメンバーから、いくつかの提案が為された。この異分野融合においてこそ、新しいICTが生まれる。現実には起き得ないような不思議な現象が、物語内では起きる。そんな光景は光技術で演出をして架空に再現することができうそうだ。プロジェクションマッピングは、立体オブジェなどを対象に投影すると立体感が増幅することは融合短歌会で体験した。作品中の「扉」や「部屋」などが、どんな空間に再現されることになるのか?今から楽しみである。また日常にない自然との融合性、賢治は東北は盛岡の自然への意識があるだろうが、この教材化においては宮崎の自然を取り込み作品に溶け込ませるのも面白いという意見も出た。ゼミ生たちの読み語りについては、落語みたいに聴こえた、面白く語るか怖く語るか、などの批評が提起され、まさに「語り」になっていたことには一つの到達点が感じられた。最終的に附属小学校の児童たちへの授業化を目指しているに当たっては、「大学に来るとこんな楽しい学びができる」ことを誘発するのではという意見もあって、重要なキャリア教育の一端になることも確認された。

学生たちの個々の力が創発に花開く
未来の教育へ向けての教材・教具・環境の総合的な開発
「リアルな想像」ではなく、「物語世界に没入」というメルヘンな体験でありたい。



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