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役割読み『注文の多い料理店』

2022-05-13
ゼミ活動として「役割読み」
「下読み語り」「テクスト分析」「読み語り劇」「演出・効果」「監督助手」
声で表現し作品の奥深さを分析し再び劇性を導入し表現する

文学教材をどう読み解いていくか?果たして従来の「学校の国語の授業」の方法は適切なのか?例えば18歳になって、小中高で学んだ「文学教材」のどれほどを覚えているのが「標準な人」だろうか。機会あるごとに1年生などには「印象に残っている文学教材」を問うたり、また新美南吉『ごんぎつね』や太宰治『走れメロス』に芥川龍之介『羅生門』を学んだかどうか?を問うこともある。この小中高3定番教材なら100%と思いきや、『走れメロス』はやっていないと答える学生が一部にいることにいささか驚かされる。ほぼ全ての教科書に掲載されているゆえの「定番」であるのだが、必要性を感じないのか担当教員が割愛する実情も垣間見える。よく「当該学年(『走れメロス』なら中学校2年生)では難し過ぎる」という理由を耳にするが、もちろん完全理解に至らしめるのが文学教材の学びではない。生涯の随所で「再読」し続けるのが定番教材たる大きな価値であろう。きっと挫けそうになった20代になってから『メロス』を再読すれば、救われる人々がたくさんいるはずである。だが哀しいかなそうならないのは、文学教材を表面的にしか学ばないという「学校授業」における誤りに起因していると考えている。

話は迂遠したが前述の問題を解決する手段として、学習者が自ら役割分担をしつつ文学を読み解く方法がある。本年度のゼミ活動として、小学校5年生教材・宮沢賢治『注文の多い料理店』を大きな課題としている。最終的にICTを導入しチームティーチングによって附属小学校で授業実践する計画である。そこで教材の読みを全員が深めるためにも、あらためてこの教材を活動的に再読してみようとするのがこの日のゼミ活動である。冒頭に記したような役割を作り〈音読→分析→演出・効果→劇表現→ふりかえり〉といった流れでの活動をした。ゼミ生各自がテーマとして得意とする分野に役割をつけ、全員の力を結集して一つの教材を読み込む活動である。文学は世間一般に思われている以上に「論理」も学ぶことができるが、字面の上のみではなく身体表現を伴い音声化することで見えてくる点も少なくない。机上の「理論」が偏重される世の傾向にあって、本気で思考力や想像力を育むには、「表現」体験をなくしては語れないと思っている。台詞の多いこの教材ならなおさら、仔細な言葉の趣旨を捉える上で音声化活動は有効である。オノマトペなども駆使され「声の文学」ともされる宮沢賢治の作品であるゆえ、この方法を実践してみての発見が多くあった。欧米でよく実践されている「オーラル・インタープリテーション」にも通ずる方法ではないかと考え、文学教材を表面的知識としてではなく「体験」することで生涯読書として個々の学習者の心身に保管する方法であるともいえるだろう。

「いや、・・・・・」の言い方(趣旨)は?
登場人物の性格など想像力が旺盛に働く
読むスピードや濃淡、もちろん教師としての身体を育てる活動でもある。


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