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人間に帰巣性はあるのだろうか?

2022-03-20
「動物が遠くから自分の巣へ帰って来る性質、または能力。
 帰家性。帰家本能、帰巣本能。」(『日本国語大辞典第二版』より抜粋)
あなたの帰る場所はどこですか?

酒好きな諸氏なら身に覚えがあるだろう、酔って知らぬうちに家に帰り寝床に入っていることを。どのようにどんなふうに帰宅したかの過程の記憶については定かではない、ことが定かである覚えである。大学時代などは都内の大学で都内の在住だったので、こうした状況をよく経験した。たぶん間違いなく山の手線に実家の最寄り駅まで乗車し、駅から間違いなく歩いて家の鍵も開けて自分の部屋の寝床にもぐり込む。だが翌朝にその過程をあまりよく覚えていないが、断片的な記憶が蘇る場合もある。今思えば、こうした泥酔の行動は誠に危険である。酒に酔った駅での事故などが報道されることも少なくない。都会で電車が利用できるのは便利だが、大きな危険があることを自覚すべきである。宮崎に移住してからは、ほぼこうした酔って公共交通機関を利用して帰宅することはなくなった。街からもタクシー以外には手段がない。よくこれを「不便」だという人もいるが、僕はむしろ利点と捉えている。学生たちも一人暮らしなら大学近辺に住む者も多く、帰宅が困難である事もない。

学生時代にこうした泥酔経験を、「帰巣本能」などと戯れに名付けていた。冒頭に記したのが辞書的な定義であるが、それを「本能」と呼べるかどうかは科学的には慎重であるべきらしい。「ある動物が日常生活範囲の外へ連れ出されても、再び戻って来る」ことで、「渡り鳥」や「海鳥」の習性などを云う場合が多いようだ。かつて西村寿行の長編小説「犬笛」が映画化され話題になった事もあったが、犬は何千キロも離れた飼い主の元へ帰って来る物語である。酒に酔う酔わないは別として、たぶん人間は人間なりの「帰巣」的な感情があるようにいつも思っている。大学に入学した時の「自分の居場所は何処だろう?」と思う疑問と孤独感、専攻やサークルで自分の「居場所となる巣」を見つけることが大学での最初の課題であったように思う。幸い僕は日本文学専攻でもサークルでも人間関係に恵まれ、良い巣で育てられたと思っている。当時の指導教授を囲む先輩後輩との繋がりは今でも厚く、僕の人生の財産でもある。などと考えると、自らが大学学部で研究室(ゼミ)を担当し既に9年目となる。多くの卒業生が県内外で教員として頑張っており、初任校から二校目へ転任になる時期を迎えいくつかの連絡を貰っている。次第に横の学年のみならず縦の関係も繋がり始め、まさに「巣に帰る」ように卒業生が帰って来てくれるのが嬉しい。まさに「心の故郷」として、僕が大学で経験したことを自らの学生の人生にも提供し繋いでゆきたいと思う。

「おかえりなさい」「ただいま」の声のように
学生時代からよく酒を酌み交わした仲間たち
新型コロナとか紛争とか、人と人とがつながることを阻害されてなるものか!


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