演劇をなめるなよ!ー現実以上の真実ゼレンスキー大統領
2022-03-17
大統領を演じるTVドラマがあったその延長として、70%を超える支持で現実の大統領に選出される
隣国の強権指導者よ!演劇をなめるなよ!と言うがごとくに・・・
ロシアがウクライナに軍事侵攻を始め、約3週間が経過する。日々のニュースで観る悲惨な市民らの映像に哀しみと憤りが止まらない。世界各国からそして国連でも非難と制裁措置が相次ぐが、両国は交渉を続けつつもなかなか停戦とはならない。僕たちは地球の一市民として、この戦争に断固たる「NO」を言い続け流べきと思う。ある番組でウクライナのぜレンスキー大統領が、かつて芸人・コメディアンであったことに触れ、自らが大統領になる主演ドラマが人気を博したことへのコメントを聞いた。調べてみると2015年から「ウクライナ国営放送」にて、「国民の僕(しもべ)」全24話が放映されたらしい。粗筋としては一介の歴史教師が素人政治家として大統領に当選してしまい、ユーモアを交えながら腐敗した政界と対決し社会を改めてゆく物語だそうだ。ドラマは大人気となり、映画版や「シーズン2・3」と続編が制作され、次第にウクライナ国民の間では現実の大統領出馬への期待が高まり、2019年にドラマタイトルと同名の政党「国民の僕」を立ち上げ、ドラマ通りに当選したと云うのだ。
大統領選挙や就任後にも、ドラマ原作の展開と同じようにWeb上で公正で自由主義的な呼びかけをぜレンスキー大統領はくり返して来ていると云う。先週は英国議会、昨日は米国議会において動画やオンライン中継による演説を行い、日本の国会での演説も希望しており受け入れ調整中らしい。演説の詳細を聞いたわけではないので表面的な印象でしかないのだが、ぜレンスキー大統領の演説は、明らかに人をつないでいく上で効果的であるように思う。ドラマの中でも主人公が常に「親愛なるウクライナ国民へ」と呼びかけ現実でも多用しているそうだが、その愛情に満ちた言葉に国民の思いはつながるのであろう。ロシアの思惑以上にウクライナが善戦して防衛をしているのは、こうした大統領の姿勢が有効に機能しているようにも見える。虚構たる演劇において、僕たちはいつも英雄を待ち望んでいるのかもしれない。時代劇でもヒーロー物でも、主人公が社会や地球をいつも悪の手から救ってくれる。江戸時代からの勧善懲悪物の流れとして一括りに「善/悪」と二項で考えることには注意が必要だが、現実以上の真実として僕たちはいつも平和を護る英雄を待っている。ぜレンスキーという一人の人物は、ユーモアと芝居という風刺を表現するには最適な活動を通じて、英雄を演じつつ国民に現実でも求めたい理想を見せたのだ。これぞ演劇が「現実以上の真実」である証ではないだろうか。世界に救いを求めるぜレンスキー大統領の言葉に、僕たちは地球規模で応えていく責務があるように思う。
邦画にあった『記憶にございません』
この国でももっと夢を見ませんか?
演劇・文芸・文学の意味が世界で問われているとも言えるだろう。
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