言ってくれないとわかりません
2021-04-17
マニュアルはどこにありますか?言ってくれればやりますから
仕事は見て盗むものという時代は遠いのか
中高教員だった頃、中途採用で移籍したこともあってよく「・・主任」などになることが少なくなかった。ある時、校庭を使う部活の顧問でもあることから、体育祭・文化祭での校庭担当主任になった。グランド整備とともに校庭の周囲にたくさんのテントを張る作業を、生徒たちとともに行う作業班である。自分の部活の生徒たちはまだ日常の指導もあってか、上級生が率先して自ら動き後輩らとともに考えて作業をしていた。しかし、作業の概略と流れはプリントして配布していたと思うが、担当教員の一人から「言ってくれないとわかりません」と怒った口調で言われたことがある。経験から学べないのか?僕に個人的に怨みがあるのか?なんだか「一人前の教員のくせに」と心で思った記憶がある。世代間格差なのか「詳細マニュアル」がないと作業ができないようなことを奴は主張していた。
僕が初任者だった頃、職員室で机を並べる先輩教員から「仕事は見て盗むものだ」と言われたことがある。出席簿・教務手帳の作り方から担任としての指導の基本まで、周囲はどうしているか?という観察をする意識が研ぎ澄まされた。現在でも周囲の人が何をどういう意識で行なっているかに対して敏感なのは、この時に身についた経験によるものだ。遡れば、母校の大学のある意味での放任主義が、教員となっても困らないトレーニングになっていたようにも思う。掲示板を見なければ教職課程の登録さえ知らないで過ごすところだった、という大学入学直後の経験が尊かった。そう考えると大学も個々に個性はあろうが、時代を経て大きく変質した。教員へもそうだが、学生には諸々の「お知らせメール」が届いて手続き等を促してくれる。常に詳細に「言ってくれる」社会になり、「自分で考えて」などと言うのは「不親切」か場合によると「職務怠慢」になりそうな勢いである。などと、教員養成学部にいる一教員として考えた。
「指示」に無批判に従うのでいいのだろうか?
あらゆる分野でクレームに対応するサービス業のような風が
「習」という文字は「自らの羽で羽ばたく」という字源なのであるが。
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