『宮崎文学の旅上下巻』刊行!
2021-02-26
宮崎県内にゆかりのある文学全集構想から3年目、ようやく刊行へ
非売品で県内中学校高等学校や公立図書館へ寄贈
24日(水)に記者会見が行われ、『宮崎文学の旅上下巻』の刊行が発表された。構想からすればもう3年の月日を費やしたであろうか。企画当初から執筆者としてお声掛けをいただき、主に中古から近世の「古典」部分を担当した。完成して手に取ると感慨深いが、「古典」とはいえ専門とする平安時代和歌に関する題材は『枕草子』ぐらいで、説話・軍記・浄瑠璃・謡曲など多彩な作品をわかりやすくするために苦心した。それにしても、宮崎にゆかりのある文学が時代を超えて集約でき、僕自身としても大変勉強になった。また県内において古代から近現代までの文学研究者が揃っていることにも、新たな可能性を覚えた。
本書は非売品で、県内の全中学校・高等学校および公立図書館に寄贈される。制作費は、県内企業など各方面から手厚いご寄付をいただき、「文学」を県の地域資源として活かす姿勢が明確にできた。今後は中高生へ向けてのワークショップ活動や、一般の方へ向けての執筆者の講演活動などができたらと企画・編集委員会で提案している。僕自身としてまず手始めに、大学附属図書館で「宮崎文学の旅仮想ツアー」などが実現できたらと思う。新型コロナ禍で行動範囲が狭くなった今だからこそ、「文学」上の想像の旅が実に大切であると思う。もとより「郷土文学作品」による教育は、今後の重要な各地域の課題でもある。宮崎の学校で学んで「宮崎の文学」を知らないというのも、間が抜けた話である。この地を愛するゆえに、どんな文学の素材としていかに輝いているかを、多くの県民の皆さんに知っていただきたい。
あらためてご寄附にご協力いただいた皆様と
企画・構想をまとめていただいた方々に感謝
「文学」を重要視する他県にない輝きを放ちたい。
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