「牧水先生!おいしい短歌おしえてください!」宮崎大学短歌会公開歌会
2018-07-10
牧水没後90年短歌県みやざき企画県立図書館企画展示のパネル移設展記念イベント
附属図書館グローカルコーナーにて初の公開歌会へ
宮崎県立図書館と宮崎大学附属図書館が連携協定を締結し、その後様々な動きが活発化し始めている。2月には県立図書館で「若者たちよ!いざ牧水を語ろう」を実施し、学生たちと牧水の歌について伊藤一彦先生とともに語り合うことができた。今回は牧水没後90年企画として、県立図書館が開催した企画展の内容を、パネル状にして宮崎大学附属図書館で今月いっぱい展示をしている。この展示を記念して宮崎大学短歌会の記念イベントが開催することになった。月例で2回やっている歌会を、図書館のオープンスペース「グローカルエリア」で公開で実施しようという企画である。題詠は「おいしいもの」ということで、短歌を読んだらその食べ物を無性に食べたくなる空いたお腹に刺激的な歌をよしとするものである。どうやら若者たちの俗語として「飯テロ」という語があるらしい。ちなみにWeb上にこの語を検索してみると「実際には食べることができない人に美味しそうな食べ物の写真などを見せ、見る者の食欲を刺激する行為を意味する俗語」(weblio)などとある。この行為を「写真」ではなく、短歌でリアルに実感させる試みである。
冒頭は「牧水のおいしいものー酒の歌をよむ」で、370首近くある牧水の酒の歌から15首を選歌し、学生たちが投票した短歌にコメントするというもの。思いの外、多様な酒の歌に票が割れて様々な角度から牧水の酒の歌が批評できたのは実に面白かった。来場してくれた方々にも投票とコメントをもらうことができ、対話的な雰囲気を作り出すことができた。その後は「おいしいもの」の題詠歌会へ。まさにリアルなことばで「読む者の食欲を刺激」するには、的確な描写を心した表現が求められる。空腹を唆る見た目・漂う香り・できたての音・たまらない舌触り等々、五感の様々な要素をことばで刺激する表現は、難しいがリアルな描写の学びとして大変有効であると思われた。「感情」と「感覚」の議論で言えば、やや「感覚」の優る歌が多くならざるを得ない印象であったが、その微妙な機微を「感情」の溝に落とし込む歌に多くの票が投じられたように思われる。今回は九州大学短歌会からも、2首の応援投歌もいただいた。また会場の方々からも鋭い意見が投じられ、短歌会の学生たちも僕自身も大きな刺激を受ける機会となった。
郷土の歌人・若山牧水を語る場として
リアルな言語表現として短歌を語る場として
附属図書館のグローカルコーナーが鼓動を打ち始めた。
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