「声を重ねる」声で遊び 声と笑い 声で豊かに
2017-12-23
市民団体主催のワークショップそしてブックカフェでの自由な朗読会
声を重ねた1日
宮崎市の市民団体「Swing-By」主催「子ども夢基金助成活動」にワークショップ担当として、学生4名とともに参加した。題して「声を重ねる」。学校の「国語」授業ではあまり実践されない、声と身体を重視した詩歌を題材とする内容である。「おならうた」の絵本から始めて、「かっぱ」「ののはな」などの『ことばあそびうた』をやると次第に子どもたちとの声の交流が深まってくる。そこに声のリレーゲームとか身体的コミュニケーションを必要とする活動を折込み、寒い板張りの会場ながら、子どもたちの顔が紅潮してくる。後半は「わかんない」の詩から。「みかん」「やかん」「じかん」の三つのことばを「実物(じかんは時計)」を見せて実感でその物をことばにしていく。最後は「うちの子は甘えん坊で・・・」という俵万智さんの短歌を題材に、場面と言っている人の心を想像して寸劇にするワークショップ。3名グループの可愛らしい発表に、保護者の方々も動画撮影などを楽しんでおられた。この全体進行をゼミ生が上手く仕切って補助してくれて、誠に円滑にあっという間の1時間半を過ごすことができた。
その後は懇意にするブックカフェで月1回開催される朗読会「TONARI」へ。「日常の”隣”に詩がある」という発想で、毎回自由に参加者が題材を決めて朗読を披露し合う。ここのところ学会大会開催等に追われて数ヶ月は参加できないでいたが、年内最後の機会にとゼミ生も誘って参加した。本来は「自作の詩歌」を読むという趣旨であるが、今回は時節柄読みたいと思っていた『サンタクロースっているんでしょうか』(偕成社1977)を読んだ。折しも進行を担当する主催者の方がサンタクロースのコスチュームであったため、場にかなった内容の朗読を提供できた。その中にある趣旨に「サンタクロースは詩である。」というものがある。並列的に「愛」「思いやり」「信頼」や「ロマンス」が挙げられている。人の豊かな想像力こそが「詩歌」となってこの世の中で光を放つ。それがなく「目に見えるもの」しか信じない「うた(疑)ぐりや」のなんと多いことか。年末になると詩歌を愛好する身として、いつも考えさせられる内容である。一緒に行ったゼミ生たちも、それぞれに即興的に題材を選び朗読に参加したことで、新たな出逢いのある宵となった。まずは声を重ねて出逢うことが大切であろう。
「声即ち命」と思えてくる
寒き夜空にぬくもる声を
師走に人を繋ぐ「声を重ねて」
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