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真実の歌集ー『老いて歌おう』

2017-12-05
素顔の自分を歌に託す
「真実の歌集ではないかと思っています」
「高齢者がうたう 高齢者をうたう 全国から2293人」

先日の「ねんりんフェスタ」での短歌トークに関する記事を3日付で記したが、お読みいただいた方から感謝のメッセージをいただいた。その方は、長年シルバーケア短歌会のお世話もされていて、今回が「第16集」となる『老いて歌おう』(全国版)の歌集編集にも尽力されている。以前からそのシルバーケア短歌会において「古典和歌」に関する講演をというお話もいただき、今年までに3回の講演をさせていただいている。少子高齢化社会が待った無しの現実となっている今、あらゆる関係の者たちが”自分の問題”として、意識を持って何らかの貢献をしていかねばならないであろう。子どもを育てる「教育」を考え、教員養成に力を尽くし、地域(県)の教育をよりより環境にしていくための使命を負っていると僕は自覚するが、それは同時に地域の高齢者が豊かに生きる環境を創り出すことといかに交流・融合していくかが大切であると、こうした機会を通じて痛感するのである。

いただいたメッセージの内容は、最優秀賞の「涙くん考える度流れでるもう泣かせるのやめてくれない」の歌に対して、「あまり意識せずに思ったことを短歌にする」という姿勢があったことをトークや小欄記事を通じて評したことに共感いただいたというものであった。こうした高齢者の短歌にはまさに「真実」が述べられていて、『老いて歌おう』は「真実の歌集」だと認識されていると云う。もちろん「文学」としてのどんな歌集であっても「現実以上の真実」を描くことが「文学」の「文学」たる所以でもあるが、とりわけこの『老いて歌おう』という歌集を「真実」と評したときに、その意味合いは深いものがあるように思われる。さらに言うならば、平安朝において勅撰和歌集がほぼ途切れることなく編集され、中央集権体制の中でも為政者が国家事業としてそれを重視した歴史が思い返される。「人の心を種」とする「和歌」を為政者が愛好してこそ、平安(平和)な時代を護ることができた歴史なのである。こうした意味で、毎年このイベントに河野知事が参加され、聞くのみならず短歌にコメントを発する機会があり、この歌集を手元に置くであろう事実は、宮崎県の大きな誇りではないかと思うのである。いただいたメッセージを通して、こんなことも深く考えさせられた。

「文章は経国の大業、不朽の盛事なり」
(文学は国を治めるのに匹敵する大事業であり、朽ちることなく後世に伝えられる盛事である)
短歌県・読書県たる根幹を支える高齢者の方々の真実の声を聴き続けたい。


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