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受け継ぐゼミの志

2017-07-18

自由闊達に発言する
各自が表現して考えを深める
そしてまたよく酒を呑む

大学院の恩師がこの世を去って10年目となった。病のことを知らされてから数ヶ月での急逝、僕たち院生はもとより、学部生で卒論ゼミであった学生たちのショックは甚だ大きかった。その卒論ゼミを急遽代講させていただき、彼らが卒論を提出し卒業するまでを、経験もない僕が担当することになった。5月の連休や夏休み中に、彼らが卒論の題材としている文献を読み漁り、恩師ほどではないまでも、何とか「指導」できるまでの次元に至ろうと死に物狂いで努力したのも、今では懐かしい思い出となった。そして恩師もお呼びしようと計画していた夏合宿。1月の卒論提出を経て、2月には京都に中古文学を巡る卒業旅行も実施した。このあまりに急な経験が、僕のゼミ指導の基本に据えられている。

当時の学生たちとは、恩師の命日であるこの時季に毎年欠かさず会うことにしている。その時間設定やお店の予約など、毎年のことながら彼らの中の女子たちが用意周到にこなしてくれる。また当時からそうであったが、会えば忌憚のない談話が次から次へと展開する。まさに彼らの20代をそのまま、僕も付き合わせてもらった感覚である。ゼミ生の多くは仕事に向き合いながらも家庭を持ち、子育てなどの話題も頻繁に話されるようになった。中古文学を自由闊達に語っていたあの頃と同様に、彼らとの対話から学ぶことも多い。紛れもなく僕自身が今もゼミで求めることは、彼らとの時間を起点としている。

恩師が導く僕自身の定点観測
穏やかな笑顔で今も見守ってくれている
「教育」に携わり人に接するこの上ない幸福の時間。
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