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ふと心に響く「見えぬけれどもあるんだよ、」・・・

2015-02-18
「青いお空の底ふかく、
 海の小石のそのように、
 夜がくるまで沈んでる、
 昼のお星は眼に見えぬ、
 見えぬけれどもあるんだよ、
 見えぬものでもあるんだよ、」
(金子みすゞ「星とたんぽぽ」より)

早朝から12時間ほど何らかの文字を追っている。資料を読み、自ら文章を書き、そして学生の書いたものを読み、たまに好きな本を少々読み・・・その繰り返しである。これを休日を含めて続けているので、自分では頑張れると思っていても、ついつい疲労が溜っているのだろう。一昨日などは、ジムでトレーニングをしていると途中から妙な無力感に襲われた。もちろん精神的な不安(昨日の小欄に記した如き)も要因となっていようが、確実に疲労が根本的な原因であると思った。「自分」のことであっても、すべて「わかっている」というのは傲慢な思い込みであり、一番近くにありて一番わからないのが、「自分」という存在なのかもしれない。

文字に追われていると、文字から離れたくなるかといえばそうではない。ふと、冒頭に記した金子みすゞの詩が強烈に眼に飛び込んで、僕の心を羽交い締めにした。やはり文字に追われても、文字に助けられるものだ。猶且つ、「詩」というものは疲労感を和らげてくれる効力さえある。まさにこの自覚なき疲労が「見えぬものでもあるんだよ、」なのである。己の中の「見えぬもの」を詩によって見えるようにしてもらった。これこそ、「文学」が人生に必要な理由の実感である。仕事を終えて馴染みの店でしっかりと栄養補給をして、早目の寝床に就いた。

「散ってすがれたたんぽぽの、
 瓦のすきに、だァまって、
 春のくるまでかくれてる、
 つよいその根は眼にみえぬ、
 見えぬけれどもあるんだよ、
 見えぬものでもあるんだよ、」
(金子みすゞ「星とたんぽぽ」より)
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