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公開講座第1回の船出

2014-05-11
文学を「読む」とはどういうことか?
己の今に照らし合わせて「読む」。
「黙読」全盛の世の中で「音読・朗読」を!

大学の使命たる地域連携事業の一環として企画申請し募集していた、公開講座が始まった。初日は12名の参加者をお迎えし、「名作冒頭文を声で読む」というテーマで90分×2コマの講義を実施した。近現代文学では、漱石『草枕』・鴎外『舞姫』・芥川『蜘蛛の糸』・谷崎『痴人の愛』・太宰『人間失格』・川端『雪国』・三島『潮騒』などを扱う前半であった。いずれも冒頭文から読み取れる含意を、参加者の中で「自己の今」に照らし合わせて浮上させてもらい、その上で「追い読み」や「一斉読み」などの「音読」方法で、独りが浮き出さないように注意しながら、声にする時間が経過した。

後半は、僕の得意とする古典文学編。『竹取』『枕草子』『源氏物語』『徒然草』『平家物語』『おくのほそ道』『論語(学而)』を扱った。やはり「音声」であることが前提となる古典文学は、漢文訓読文も含めて韻律が軽快である。教室を左右に分けてのミニ群読など、これまでに僕が現場で培って来た方法を用いて、豊かな声の時間が持続した。その上で、昔物語とは?日本的季節観とは?世間と男女の性愛とは?無常観とは?漂泊の思いとは?そして学ぶとは?等々、様々な生きる上での、知的教養に富んだ問題意識が浮上してきたように思う。

一般の市民向け講座の担当は初めてである。学生とは違い「学べ!学べ!」と煽ることもできない。講義中の個人指名などにも抵抗がある方も、いらっしゃるかもしれない。などと僕なりの配慮をしながら講座は進行した。しかし、参加人数の上でも全員の反応に眼が行き届いたこともあり、「音読」の場面では次第に参加者の声を引き出すことができたように自己評価できる。この日は、「顔合わせ」といった意味合いもあるので、次回からは更なる「対話」を醸成できそうだ。何より「学ぼう」とされている参加者個々人の眼は、実に意欲的であったとここに記しておきたい。

今年度は(8月を除く)毎月1回第二土曜実施となる。
今後の申し込みや単発1回受講も可である。
更に多くの方が、講座に足を運んでいただけることを期待したい。

講座紹介HPはこちらから宮崎大学公開講座
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