一足の靴から
2013-03-21
その交流は一足の靴から始まった。あるメーカーにこだわりをもって履いていたその靴を、
「いい靴を履いてますね!」
と彼は言った。
「(メーカー名)の靴が大好きなんです」
と僕は答えた。
もう3年近く前になるが、自宅近所のカフェでのことである。特段日常からランニングをしていたわけではないが、そのメーカーの靴の履き心地は、日本人の脚の特性を熟知しており格別であった。そんな“こだわり”に注目する眼をカフェの店長が持っていることに大変興味を惹かれた。
その後、足繁くカフェに通うようになる。次第に“靴”のみならず、スポーツのこと・地域のこと・社会のこと等々を店長と話すようになった。次第に注文品を給仕する奥様とも親しく話すようになった。静かで落ち着く店内は、いつの間にか僕にとっての心安らぐオアシスのような場になった。
それから3年近く、小欄にこれまでも「地域社会」という項目に蓄積してきたことをこのカフェを拠点に“行動”してきた。常連さんたちと意気投合し、12時間リレー耐久マラソンにも出場した。もちろんそのメーカーの靴を履いて。その靴に注目した店長は、学生時代に箱根駅伝4区を走った経験のある方であった。
そのカフェで、僕が新たに歩む道に対して温かい気持ちを寄せていただく会が催された。この3年間は、僕にとっても自分との闘いでもあった。その苦闘をどこかで支えてくれた人々。居住地域で様々な話題を話せる人の輪。改めてその気持ちの温かさを心の奥底で受け止める一夜となった。
靴一足にもこだわりをもちたい。その一般的な視点からすれば“偏窟”とも思われかねないことに、これからも十分にこだわりたい。その個性を見るべき人が見れば、ある種の意識が合致することがある。「意気投合」とは簡単にいうが、こうした“こだわり”の中でお互いの思考が寄り添うことがあるものだ。
このカフェの店長とは、そんな“意識”が通い合う仲である。
人生のうちでも、幾度しかない岐路に立って思う。
人は人との出会いに支えられている。
店長御夫妻本当にありがとう!
そして常連仲間のみなさんにも、心から感謝の気持ちを伝えたい。
皆さんは、これからも僕の心の拠り所であり続けるだろう。
この日も店長は僕に声を掛けた。
「新しい靴ですね!」
僕はまたそのメーカーの靴で、次なる道に歩み出すのである。
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