思い出の窓
2013-03-20
人生は決して平らな道ではなく、常に起伏があり紆余曲折もある立体的な構造をしている。
その眼前にある風景は現実に道を歩くほど確実に眼に見える訳ではなく、
些細なことから自分でも想像もつかない道を歩いていることがある。
その偶有性と意外性に満ちた歩き方に魅力を感じるのもまた一つの生き方だ。
歩道橋を渡るとその正面にマンションの窓が見える。嘗て住んでいた部屋の窓だ。その部屋に住むことで、生活習慣が変わり行動が変わり思考が変わった。それまでの人生の垢を落とすかのように、自分の中で磨くべき箇所への刺激が高まった。その部屋で量産した論文の数は自分でも驚くほどだ。思考は環境によって鍛えられるのである。
久し振りに歩道橋からその窓を見上げてみた。他の誰かが明かりを灯し、そこで何を思考しているのであろうか。今や常に部屋側から見ていた景色の一部である歩道橋からしか、その部屋を見る権利はない僕。その反転にいくつもの想いが去来した。そしてまたその部屋に住んで以来、多くの人に支えられて今があるという気持ちが高まった。
その部屋に居た頃から10年、まさにひと昔。
再び今また岐路を迎えている。
思い出にこだわり過ぎれば、歩みは停滞する。
人生の進歩を望むがゆえに置いてゆくものもある。
だがしかし、
どうしても僕の生き方に必要だった時間。
何のこだわりもなくその思い出にアクセスできる自分がいい。
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