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国外退避の現実感

2011-03-30
29日(火)毎週火曜日は英会話教室だが、今は春休み中。だが、授業の前に腹ごしらえをする馴染みの洋食屋さんへ、この日も夕食に出向いた。常連である90歳の老人は、私より早く、いつもの時間にいつもの席にいらしていた。一人暮らしの老人は、地震以来、結構不安な要素が多いという。電車のダイヤが混乱するので、出掛けるのは控えている。暗い道を歩いていると、速度を上げた自転車などが恐怖でもあるようだ。ならば、自宅に居ればいいというのは酷な話だ。他人と会話をすることで、不安を解消するのは、誰しも同じことであるから。ゆえに、この時間に夕食に行くのは、自分の為でもあり、老人との交友への感謝の為でもある。勿論、外食を控える傾向にある中で、馴染みの洋食屋さんの売り上げに貢献することも重要だ。

ヒレカツなどいただきながら、談笑していると、カウンター内にいた店の息子さんが、「原発が本当にヤバくなったら仕事も捨てて海外に逃げますか?」と問い掛けた。店の奥さんは、すかさず「そりゃ、奥さんの所へ行くでしょ」と笑顔で付け加えた。この数週間、「国外退避」という事を、妄想レベルでは考えたりもしたが、現実に問われた時に、どう答えたらいいかはわからなかった。老人は、退避するともしないとも言わず、「逃げるならヨーロッパがいいね」と渋く語った。さすがは元パイロットでフランス語も堪能な老人。偏西風に乗って放射能が来づらいヨーロッパがいいというのだ。店主夫妻や息子さんは、「私たちは逃げるところもないから、日本に居続ける」と言った。



帰宅してWebを見ていると、参議院議員・有田芳生さんのブログに「(外国人)16万人強が出国」とあった。約221万人いる外国人から、永住している外国人を除くと132万人となり、その八分の一が日本から退避した計算になるという。その多くは、地震の揺れに対する恐怖以上に、「原発震災」に対する不安からである。

確かに自分の周辺でも、知人の登山家の娘は、夫がスイス国籍のイタリア人だが、地震の3日後に、成田に自家用車を放置して帰国した。連絡を受け、私の父と知人で、ガソリン供給の厳しい中、成田まで自家用車を拾いに行った。それは短期間での帰国ではないことを示唆している。

英会話教室で3年間お世話になったカナダ人は、どうしただろうか?メールをしたが、未だ返信はなし。もともと地震に関わらず、この3月で英会話教室を辞め、6月頃にはカナダに帰国する予定でいた。職場でしかメールが見られないと言っていたので、まだ自分のipadが購入できていないだけかもしれないが・・・。


そうこう考えていると、携帯が鳴った。大学近くの馴染みの小料理屋店主だった。4月に予定していた娘の結婚パーティーを中止せざるを得ないという旨の連絡だ。娘は、フィンランド人と結婚し、向こうでの生活を続けているが、国の方針で、この時期に夫婦で日本へ行くことが許可されないという。欧州では、現在の日本で起こっている事態を、それほどまでに重大に考えているのだ。日本でいえば、外務省の渡航禁止国というところだろう。

米国留学中のウメ子の大学でも、日本で学んでいる(当該大学)留学生は、大学が費用を負担するので、即座に米国に帰国せよということらしい。こんな周囲の反応を見ていると、原発への敏感さは、1位、欧州人(特にフランス)・2位アメリカ人という印象だ。唯一の被爆国である日本人の原発に対する意識は、今までが低過ぎたと言わざるを得ないのであろうか。



そんな中でも、デマや風評被害に惑わされずに、立ち上がろうとする日本人の姿は、やはり心に響くものがある。だからこそ、今こそ、冷静に論理的に物事の核心を捉えようとする、一人一人の眼が必要であるに違いない。


サッカーが、それほど好きではない私であっても、この日のチャリティーマッチで魅せた、44歳カズのゴールには心が熱くなった。


世界基準の中で、本当に日本人の真価が試されている時なのかもしれない。
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