冷静でいること
2011-03-15
14日(月)繰り返すが、被災者の方々や安否が未だ不明な方々にとっては、小欄を更新できる環境にあるだけでも、贅沢極まりないのであるが、東京在住の一国民として考えたことは、ここに記しておくべきであろうと思い文章を綴っている。何か自分にできることという意識があるゆえに、節電や交通機関の混乱にも腹を立てることもなく、その日常生活の(比較的)微細な変化を受け入れているのだ。この日に出勤するのは、結構な困難が伴った。電車が部分的な区間しか動いていなかったり、運転本数が減少していたので、駅によっては乗車の為に行列ができ、ホームから人が溢れるばかりになってしまったりした。そんな状況の中で小生は、場合によっては職場への往復は徒歩を覚悟して、歩ける靴で水分と軽食持参で家を出た。更には、状況によっては職場に宿泊の可能性も考え、寒くても寝られるような衣服と洗顔系統の身だしなみ用品はリックの中に潜ませておいた。
首都圏ではガソリンの供給量も減少しており、給油が儘ならないと聞く。燃料系統は極力、東北地方へ回すべきだと思うので、この機に自動車の使用は控えるべきであると思う。公共交通機関の混乱ゆえに自動車の使用という発想は、日頃から使用していない者なら、とりわけ避けるべきではないか。混乱であるゆえに楽な道を選択するのは、日本全体にとって些細ながらもマイナスである。
また停電への対策ということなのだろうが、懐中電灯や電池、食料品の品薄が顕著だ。小生は以前から、防災への関心があったので、常にミネラルウォーターの備蓄、缶詰・乾麺の保存を心掛けてきた。ゆえに、慌てて買い出しをする必要性はあまり感じない。東京のスーパーにおいて、これほど棚に物がない状態を見るのも稀なことだ。石油ショックの風評から、トイレットペーパーを買い占めたという昭和の歴史が回想される。だが、機に接して慌ててというのではなく、これほどの地震の巣上に我々は住んでいるという自覚を改めて持つべきではないだろうか。今だけではない防災意識の高まりを願うばかりである。
マンションの管理組合理事長として、この日の朝、管理人の方にエントランスの節電を提案した。最低限の照明で防犯上問題がなければ、それで過ごせるはずである。通常設置されている照明器具のほぼ30%程度で行うような設定に変更してもらった。できることは極力すべきであろう。
夕方になり米国留学中のウメ子と交信。海外にいる感覚・観点からすると、日本人は何故にあれほど冷静で居続けられるのか、という見方が米国などでは大勢を占めるという。暴動略奪は起きない。被災していても忍耐強く前向きに対処しようとする。計画停電などを不服も言わずに受け入れる等々。こんな所にも、日本人の文化的な特徴がよく顕現してきていることを改めて感じる。
計画停電などが実施できる電力会社の配電構造なども、世界の他の国では類を見ないというのだ。需要と供給バランスに配慮し、急な停電が起こらないように采配する電力会社。米国あたりでは急な停電となり、暫くは復帰しないようなことが、落雷などの影響で、すぐに起き得ることだ。停電地域を子細にグループ化し、痛みを公平に分け合うという発想自体が、世界に類を見ない稀な方法なのである。それが現実に実施されていることは、世界的なニュースになってもおかしくないほどのことではないか。
世界的ニュースといえば、福島原発の状況も憂慮すべきことでもある。しかし、全ての困難を組織的な協力で回避していくということが、実は日本の底力なのではないだろうか。
冷静に、今自分ができることを考える。この意識で暫くの間、毎日の生活が続く。
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