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酒と人生と闘いと

2010-06-06

5日(土)今日は以前から楽しみにしていたトークショー「酒と人生と闘いと」に参加。神保町の東京堂書店で、有田芳生さんの著書『闘争記』の出版を記念し、酒場詩人の吉田類さんと2人の、楽しい1時間半であった。

 まずは会場に行くと、協賛会社として参加していたホッピーとキンミヤ焼酎がふるまわれた。未だ陽の高い午後3時であるが、まずはこれにてたいそうリラックス。しかもなかなかそこいらの店では飲むことができない、「生」樽詰めホッピーであるという。

 トークショーを展開するお2人も、会場に入ってくる時点で、コップを片手に。演題通りまずは「酒」から入ったという、実に虚や建前のない会の始まりであった。有田さんが口火を切り話は始まるが、吉田類さんがユーモアの中にも知性が感じられる受け答えをすると、会場は終始爆笑の渦に包まれた。なぜか、意図しない心の底から湧きだしてくる言葉の一つ一つが、我々聴衆を芯から魅了してくる。

 吉田さんは、「酒場は学校だ」という。人生を学び、心を広げ、男女の何たるかを教えてくれると。ゆえに酒は人生に繋がるのだという。こう書くとやや堅い印象も受けるが、その人生の学びには、常に自然体で肩の力が抜けた柔軟さが居座っている。概して、職場などでの酒の場は、ともすると愚痴と陰湿な駆け引きが潜む内容に終始するが、酒をそのように飲んでは、大変もったいないということに気付くのである。

 一方の有田さんも、酒好きは共通であるが、その実直かつ冷静な話の内容が、またまた聴衆をうならせる。ご自身がジャーナリストとして追いかけてきた様々な経験の中から、将来的にも通用するものを厳選し、今回出版の『闘争記』(教育史料出版会刊)に収めたという。その本の帯には次のようにある。

  困難を突破する方向性は現場に萌芽している。
 その視野を明るくするものこそが、インテリジェンスとしての「知性」である。

 有田さんは、知性に裏打ちされた「現場主義」な姿勢で、これまでの様々な活動がある。その多岐にわたるご経験を、政治の世界に活かすべく、次期参議院選挙に3度目の挑戦をする。先の2回の敗戦については、御著書に詳しいが、選挙制度のからくりで、有田さんより得票数の少ない方でも、当選しているという現実がある。更には、参議院から田中康夫さんが衆議院に鞍替えする際に、次点候補として議員になれる資格があった。しかし、有田さんは、議員になるなら「自ら選挙で闘って美しく勝つ」という美学を持っていたゆえに、辞退した。人生は、ただ単に勝てばいいわけではない、「美学」が必要だということも、改めて胸に刻むエピソードである。

 吉田類さんが有田さんを想い詠んだ短歌


 「ほろ酔うて月に涙の人あらば深く澄みたる湖(うみ)をおもへり」


 有田さんの透明感ある人柄がこの一首によく表現されていた


 酒と人生と闘いと

 この日も、人生を楽しむためには「知性」を兼ね備え、美学をもって歩むべきであると、つくづく感じた。トークショー後の酒場で、また改めて人生の視野を広げる出会いがあった。

 やはり可能な限りの人間的な出会いこそ、人生を豊かにするのである。

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