やがてかなしき旅の空
2010-02-24
23日(火)旅から現実の生活に戻る。それは旅が楽しく充実していればいるほど、その断層は大きく、1日ぐらいは頭を切り換える時間が必要だ。四国で得たものは何か?毎日、小欄に書いていた内容がそれなのであろうが、そう簡単に具体的な形で眼前に現れるものではない。
松尾芭蕉に有名な次の一句がある。
おもしろうてやがてかなしき鵜舟哉
鵜舟に興じた後に、直面した現実やその興じた事実を振り返り、空虚感が蔓延する芭蕉の感情が読み取れる。鵜の本性を利用した人間エゴの醜さに気付いたという点も、「かなしき」の感情に含まれるようにも読める。「祭りごと」や「旅の空」は、やはり日常性からの解放。そこから日常に回帰し拘束されるときには、精神的な峰を越えなければならないということか。
職場の中での自分。社会の中での自分。家族の中での自分。様々な小社会の中にいたとしても、最終的には一つの大きな世界の中で、自分のしたいことをいかに実行するか。新たな世界観を身に纏いながら、前進するにはこの旅の後の行動に懸かっている。
芭蕉をはじめ、ことばを操り人生を考えた昔日の詩人たちは、生きるとは「旅」であるという趣旨のことを述べてきた。「旅」の後の空虚感は、変えられようのない現実であるが、「今この時」そのものが「旅」であると解すれば、「虚しく」とばかり言ってもいられない。まさにあとは「実にして帰る」ことを永遠の旅人として受け止めていけばいい。
次第に春の暖かさを感じるこの日。気付けば2月もあと僅かになっていた。
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