文化風土が生み出す人材
2010-02-18
17日(水)関川夏央氏著『「坂の上の雲」と日本人』(文春文庫)を読み始めた。その膨大な司馬遼太郎作品に対する的確な評論である。解説を内田樹氏が書いているが、そこでは「日露戦争以後的なもの」と「1968年以後的なもの」に同質性を見出した司馬が、それを嫌ったという点に触発されている関川氏の視点を述べている。ということは、「日露戦争以前」が「若い健康な日本」であり、その後を「不健康な40年」としているということで、このような作品の歴史観を述べている点は興味深い。
また、関川氏の著作の中では、「司馬遼太郎独特の着眼点」として、「ある地域、ある町内が、その文化風土から独特の人材を生み出すという考え方」を指摘する。『坂の上の雲』の中における、正岡子規と秋山好古・真之兄弟のことである。こうした司馬の着眼点の延長上に『街道を行く』もあるわけだが、これは文化風土の、具体的で紀行的な検証であると関川氏は述べる。
自分の場合を考えてみても、意識をしてみれば、生育環境から受けた影響は少なくない。大学生となり社会人となってからというもの、尚更それを意識する場面も多くなった。次第に、その文化風土が独特なものであったと意識され、故郷への愛着も加わってきたものだ。人間は誰しも「ある地域」にしか存在できないが、そこから受けている無意識の影響というものを、改めて考えてみる必要があるのだろう。
正岡子規と秋山兄弟という、明治を変革の中で動かしてきた人物。彼らがどのような文化風土から生み出されたかのか?いよいよ松山に赴き、この目で確かめる日が近づいている。
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